採卵数が少ないと加齢に関連疾患のリスクが高まる

今回卵巣の加齢と加齢に伴う疾患に関連があるか調べた報告をご紹介いたします。


Human Reproduction, Volume 35, Issue 10, October 2020, Pages 2375–2390,


卵巣の老化は、加齢に伴う卵巣原始卵母細胞プール内の卵の量と質の両方の低下と考えられます。卵巣老化の行き着く先は正常な月経周期を維持するには卵胞が少なすぎて閉経に至ります。閉経年齢の中央値が51歳で、その約10−15年前に妊孕能の低下が始まります。卵巣の老化が加速すると、10%で(early menopause)早期閉経(<45歳)、または1〜5%で早発閉経(<40歳)になります。


早期または早発閉経は、手術、化学療法、自己免疫または環境要因によって引き起こされ、ライフスタイルとも関係する可能性があります。脆弱X症候群やターナーモザイク現象などの遺伝的要因が関係していることが知られていますが、多遺伝子メカニズムもおそらく関与していると報告されています。ただ、早期卵巣老化の背後にあるメカニズムは、症例の70%でわかっていません。


卵巣の老化と一般的な老化はお互い関連しているという説を支持する報告があります。多くの研究により、特に若い年齢の自然閉経は、心血管疾患(CVD)、冠状動脈性心臓病、癌関連など、通常は加齢に関連すると考えられる疾患やイベントのリスクの増加に関連していることが確認されています。したがって、40歳未満の自然閉経は、体細胞老化の加速のマーカーと見なされる可能性があるという報告があります。閉経が遅れるたびに死亡率が2%減少するという報告もあります。


ART治療は、卵巣の老化が加速している女性を早期に特定する可能性があります。 ARTでのFSH刺激に対する反応が、卵巣老化の有効な初期マーカーとして利用できる可能性があります。この報告は公立・私立クリニックの両方の治療サイクルを含む全国データを利用して、原因不明の採卵数が少ない症例を対象に、加齢関連イベントのリスクを調査しました。


方法
1995年から2014年の間に、IVFまたはICSIによる初回治療に限定し、採卵時の年齢と回収された卵数に基づいて、女性を2つのグループに分けました。
早期卵巣老化グループ(EOA);初回ART治療で37歳以下、2回以上のFSH刺激サイクルで採卵数5個以下
正常卵巣老化グループ(NOA);初回ART治療開始時に37歳以下で、採卵数8個以上
2群間で加齢関連イベントのリスクを比較しています。


結果
研究期間中(1995年1月1日から2014年12月31日まで)、57 076人の女性が研究の対象となりART治療を受けました。それらのうち、1222人の女性がEOAの選択基準を満たしました。対象群は、16 385人の女性でした。全体的な追跡期間の中央値は7.8年。最初の年齢関連イベントの平均年齢は、両方のグループで同等でした。平均BMIは、NOAグループ(23.8(±4.1)kg / m2)と比較してEOAグループ(24.2(±4.4)kg / m2)で有意に高く、独身女性の割合もEOAグループで有意に高かった( 9.3%対7.0%)。喫煙と教育レベルで有意差は観察されませんでした。 ART終了後のHRTの使用は、EOAグループで有意に高かった(1.3%対0.3%、P <0.01)。最初のHRT処方の平均年齢は、EOAとNOAで同等でした(それぞれ45.2歳と44.4歳)。


EOAに関連する危険
正常な卵巣予備能を持つ若い女性と比較して、EOAグループは加齢に伴うイベントの全体的なリスクの危険性が高かく、潜在的な交絡変数を調整した後も1.24倍と有意なままでした。
CVD(1.44、1.19〜1.75)、骨粗鬆症(2.45、1.59〜3.90)の危険性が大幅に増加しました。
チャールソン併存疾患指数(併存疾患から予後予測を行う指数)(1.15、0.93〜1.41)、早期退職給付の発生(1.21、0.80〜1.83)、癌(1.09、0.60〜2.00)、何らかの原因による死亡(1.14、 0.54〜2.39)、その他の加齢性疾患(1.26、0.29〜5.58)。調整後EOAと2型糖尿病のリスク増加(0.95、0.60〜1.49)との間に関連はありませんでした。


結論
このデータは、FSH刺激後の採卵数が少ないと定義されるEOAの若い女性が、罹患率と死亡率の観点から加齢に伴うイベントのリスクを高めていることを示しており、卵巣予備能が低いことが有用なマーカーである可能性があるという仮説を強く支持しています。したがって、不妊治療クリニックでこのグループの患者にカウンセリングすることは、早期閉経に関連する健康への悪影響を減らすために重要です。

ビタミンDと流産

今回ビタミンDと流産に関するメタアナライシスが発表されましたのでご報告いたします。


 流産は身体的・心理的な負担を強いられ、妊娠の約15.3%におこります。世界的の女性の10.8%が1回、1.9%が2回、0.7%が3回の流産を経験しています。重要なことに、女性の不育症(RM; この報告では2回以上の流産と定義)のリスクは、流産ごとに10%増加し、3回以上の流産既往のある女性では42%まで増加すると報告されています。早産、子癇前症、死産、うつ病、ストレスなど、産科的および心理的合併症のリスクも、RMを経験している女性で増加します。
 ビタミンD欠乏症(25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D))は世界的な問題であり、妊娠中の女性や妊娠を計画している女性はビタミンD欠乏症のリスクは高くなります。ビタミンD欠乏症は、母体・新生児の骨疾患に関連していますが、妊娠高血圧腎症、妊娠糖尿病、早産などの生殖・産科の合併症を発症する女性に多く見られます。
 ビタミンDの補充は安全性の高い治療法です。さらに、メタアナリシスでは、低用量の出生前のビタミンDの補充(22試験、3,725人)により妊娠高血圧腎症が0.48倍に、妊娠糖尿病が0.51倍に、低出生体重児が0.55倍に改善したと報告されています。不妊症の女性の場合、ビタミンDが十分であれば生殖補助医療による出産の可能性は大幅に高くなります(オッズ比[OR]、1.33; 95%CI、1.08–1.65)という報告もあります。
 妊娠と流産におけるビタミンDは、妊娠初期の母体脱落膜と胎児栄養膜におけるビタミンD活性化酵素CYP27B1の発現に関係しており、ヒト胎盤が25(OH)Dと活性1,25-ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH)2D)の両方を蓄積するための重要な組織であり、栄養膜浸潤、胎盤螺旋動脈のリモデリング、および免疫細胞機能に重要な役割を果たします。流産ではこれらの働きが損なわれ、子宮内膜受容性の異常、胎盤形成不全がの受胎後早期に起こります。そのため、低血清25(OH)Dレベルは、胎盤1,25(OH)2Dの減少を引き起こし、胎盤調節不全を介することが流産の病態生理に関与している可能性があります。ただし、流産やRMの女性でビタミンD欠乏症が多いかは不明であります。
 この系統的レビューとメタアナリシスの第一の目的は、自然流産やRMを含む、ビタミンDの状態と流産との関連を評価することでした。また、ビタミンD治療が流産のリスクを減らすかどうかも評価しました。


10件の研究(n = 7,663)が選択基準を満たしました。
ビタミンD補充と流産予防を調査する4件の介入研究(n = 666)
母体のビタミンD状態と妊娠結果との関連を調査する6件の観察研究(n = 6,997)
が含まれています。


①ビタミンD欠乏症は流産またはRMに関連しているか?
ビタミンD欠乏群(<50 nmol / L)とビタミンDが十分な群(> 75 nmol / L)を比較したメタアナリシスでは、流産のリスクが統計的に有意に増加していることがわかりました(OR、1.94; 95%CI、1.25–3.02; 4件の研究;n= 3,674; I2 = 18%)。
ビタミンD欠乏群またはビタミンD不足群(50〜75 nmol / L)とビタミンDが十分な群を比較した複合分析では、同様に流産のリスクが統計的に有意に増加していることがわかりました(OR、1.60; 95%CI、1.11〜2.30; 6研究;n= 6,338; I2 = 35%)。


ビタミンD補充は流産やRMのリスクを減らすか?
研究の不均一性とデータ品質および報告バイアスのため、直接比較およびメタ分析はできませんでした。
Samimiによるバイアスのリスクが低い研究によると、ビタミンD補充後に妊娠したRMの女性(n = 5 / 39、12.8%)よりも対照群(n = 13 / 38、34.2%)で有意に高い流産率を報告しました( P = .03; OR、3.53; 95%CI、1.12–11.2)。しかし、年齢、妊娠、以前の流産、およびインターロイキン-23などの交絡因子を調整後は、有意な関連性(OR、0.37; 95%CI、0.06–2.26)は測定されませんでした。
Hollisらは、対照群とビタミンD補充群で流産率に統計的に有意な差は見られなかった。
Ibrahimらによる研究では、RMの女性は対照群(9 / 20、45.0%)よりもビタミンD補充群(6 / 20、30.0%)より流産率は低かったが、その差は統計的に有意ではなかった(P = .5)。


この報告の結論として、ビタミンD欠乏症の女性は、流産のリスクが高いことが示されました。ただ、ビタミンD補充が流産をリスクを減らすかはわからないという結果でした。



トリガー日を最適化すれば、ARTの治療成績が良くなる?

本日は採卵時のトリガー日を最適化するために機械学習アルゴリズムを使用すると、E2レベルを安全な範囲内に保ちながら、臨床結果が改善される可能性があるという報告をご紹介いたします。


Fertility and Sterility® Vol. 118, No. 1, July 2022 0015-0282


体外受精(IVF)サイクル中の卵巣刺激の最初の目標は、多数の卵胞を発育させ、複数の質の高い卵を回収することです。卵巣刺激中、プロトコールやゴナドトロピンの開始用量、種類などが卵の質に影響するかもしれません。最終的な卵胞の成熟を誘発するために、採卵2日前の夜にトリガー注射やスプレーを投与します。トリガーが早すぎると卵が成熟しなかったり、トリガーが遅すぎると卵が過熟であったり、卵巣過剰刺激症候群のリスクが高まる可能性があります。トリガー注射を投与する最適な時期は主観的な決定であり、診療所や医師によって大きく異なります。
 多くの研究が卵胞径と成熟(MII)卵獲得との関係を調査しており、小さすぎたり大きすぎる卵胞はMII卵を獲得する可能性が低いと報告しています。どの卵胞径が成熟率が高い過を決定する理想的な方法は、個々の卵胞吸引によるものです。しかし、そのような研究を大規模に実施することは困難です。Rosenらは卵胞径(> 18 mm、16–18 mm、13–15 mm、10–12 mm、および<10 mm)を個別に吸引したところ、卵の成熟率が卵胞径とともに増加すると報告しています。これまでの研究では、卵胞径と成熟卵獲得に高い相関関係があることは確立されていますが、個々の患者のトリガーのタイミングを最適化するためにどうすれば良いかはわかりません。
 この研究では、排卵誘発中にトリガーを行う最適な日を予測するための機械学習アプローチを紹介しています。このモデルは、線形回帰モデルを使用して、「当日と翌日」にトリガーを行った場合に獲得できるMII卵数を予測しています。また、翌日のE2レベルとMII卵数の結果の正確な予測を行います。


この研究には合計30,278サイクルが含まれています。


卵胞の測定値は、直径に基づいて6つのグループに分類されました:<11 mm、11–13 mm、14–15 mm、16–17 mm、18–19 mm、>19mm。採卵されたMII卵数、2PNおよび使用可能な胚盤胞が調べられました。


翌日と比較して当日にトリガーされた場合にMII卵数を予測できるように開発されました。当日または翌日トリガーされた場合に採卵されたMII卵数を予測するために、トリガー日とトリガー前日にそれぞれ測定された卵胞数とE2レベルを使用して線形回帰モデルが開発されました。最後に、E2予測モデルが開発され、卵胞数と1日前に測定されたE2レベルを使用して翌日のE2レベルを予測しました。これらのモデルを組み合わせることで、当日と翌日トリガーされた場合のMIIの結果の比較を可能にしています。


当日と翌日のMII卵予測数が増加傾向を示した場合、アルゴリズムは刺激を継続することを推奨し、減少傾向を示した場合、アルゴリズムは当日トリガーすることを推奨しました。


結果
トリガー当日のMII卵数を予測するための最も重要なサイズは、14〜15 mmの卵胞であり、次にサイズが16〜17 mmの卵胞でした。19mmを超えるサイズの大きな卵胞は最も影響がありませんでした。翌日トリガーのMII卵数を予測するには、サイズが11〜13 mmの卵胞が最も重要でしたが、サイズが19mmを超える卵胞は依然として最も影響がありませんでした。


トリガーが早かった群は、時間通りに行えたトリガー群と比較して、平均でMII卵が2.3個少なく、2PNが1.8個少なく、使用可能な胚盤胞は1.0個少なかった。トリガーが遅かった群は、時間通りのトリガー群と比較して、平均でMII卵が2.7個少なく、2PNが2.0個少なく、使用可能な胚盤胞は0.7個少なかった。


15個の予測MII卵(全サイクルの85%)のしきい値に達していない群に対するサブ分析を実施しています。 このグループでは、早いまたは遅いトリガーが、それぞれサイクルの59.3%および16.8%でみられました。時間通りに行えたトリガー群と比較するとトリガーが早い群は、MII卵が平均1.0個少なく、2PNが0.6個少なく、使用可能な胚盤胞が0.4個少ない結果で、トリガーが遅い群は、MII卵が平均3.6個少なく、2PNが2.7個少なく、使用可能な胚盤胞が1.3個少ない結果でした。


<まとめ>
卵巣刺激中のトリガー日を最適化するための機械学習モデルを開発した最初の研究の1つです。この結果は、サイクルの半分以上が早いまたは遅いトリガーの可能性があることを示しています。早いまたは遅いトリガー群は、胚盤胞個数の減少を認めており、トリガー日を改善させることでかなりの数の患者の転帰を改善する可能性があることを示しています。
著者らは今後の作業で、トレーニングデータセットのサイズと多様性を継続的に拡大し、モデルを使用して患者転帰を改善するための前向き検証研究を実施することに焦点を当てていくようです。

精子を選別するためにヒアルロン酸を使用した報告

ICSIの際、ヒアルロン酸を用いて精子を選別するPICSIに関する報告が発表されていましたので一部ご紹介します。


精子DNAq(精子DNAの質)が低下するとIVFの成功率は低下する可能性があるため、生児獲得のために精子DNAの質の向上は不可欠と考えられています。 ICSIは、精子を卵子に直接注入するため、異常な精子の侵入を防ぐ自然の機構を省略します。DNAqとICSIの治療成績との関係はあまり明確ではありませんが、男性パートナーの精子DNAqが低いと流産のリスクが高くなると報告されています。また、質の悪い精子が除去された精子と比較して、未処理の精子を使用した方が流産のリスクが高いことを報告されています。


精子DNAの質の測定を精子クロマチン構造の損傷と定義した場合、精子DNAの質は男性不妊症とART成績への影響を理解する上で極めて重要です。測定方法として様々あり、TUNEL法、コメット法、精子クロマチン分散(SCD)、アクリジンオレンジ(AO)染色などのスライドベースが一般的です。コンセンサスやガイダンスはありませんが、それぞれの長所や短所をカバーしています。ただ、テロメアの長さやDNA倍数性などは検出できません。


卵母細胞-卵丘複合体を取り巻く細胞外マトリックスの主成分であるヒアルロン酸に結合する精子(HA)は、成熟しDNAqがよく、DNAがよく圧縮されており、残存細胞質が少ないと報告されています。PICSIに関するこれまでの大規模臨床試験(Worrilow et al 2012)と小規模研究(Majumdar and Majumdar 2013)では流産率の低下が共通して報告されています。ただ、臨床成績との一貫性が低く、HA選択精子がより質の良い胚を生み出すかどうかはわかりません。


Robert Westらの報告では、HBSおよびDNAqについて分析された1247精子を分析し、 HBSとDNAqのすべての測定値は、正常精子群と異常精子群で有意差を認めました。ヒアルロン酸に結合する精子スコア(HBS)とDNAqの低下が精子の質の低下と関連しているのではないかと考えられます。
ICSIとPICSIによる出生率の予測では、通常のICSI治療と比較するとpICSIすることにより、35歳以上の急激な出生予測の低下を緩和しているグラフが提示されています。また男性年齢についてもPICSI群の方が男性側の高齢による出生予測の低下を緩和しているグラフが見られています。そのため高齢群にヒアルロン酸選択精子を使用することにより、精子DNA損傷の少ない精子をICSIに使用することで損傷した精子DNAが治療成績に及ぼす悪影響を軽減できたのではないかと考えられました。

ヒト細胞株によるrhCGを卵巣刺激に用いると体外受精の治療成績に影響するか?

今回、ヒト細胞株による組み替えhCGを卵巣刺激に用いることで体外受精の治療成績に影響するか調査した報告をご紹介いたします。


Human Reproduction, Volume 37, Issue 6, June 2022, Pages 1161–1174


絨毛性ゴナドトロピンベータ(CGベータ)は、ヒト細胞株(PER.C6®)によって発現される新規の組換えhCG(rhCG)です。この報告は、rhCGとFSHを併用してLong法で卵巣刺激し新鮮胚移植を行うことで体外受精の成績に影響するか調べています。


CGベータと他のhCG製剤の主な違いは、生体内で重要な生理活性に関わっているグリコシル化です。これは、糖類が付加する反応で、O-結合型、N-結合型、C-結合型、グリピエーション、リン酸グリコシル化などありますが、CGベータのグリコシル化は独特です。CGベータのグリコシル化とシアル化の程度は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株によって産生される絨毛性ゴナドトロピンアルファ(CGアルファ)とは対照的に、ヒトにおけるCGベータの生物学的活性を増加させます。関連するN-結合型α2,6-結合型シアル酸は、ヒトの循環半減期を延長する可能性があります。BroksøKyhletらによるとフェーズ1試験(000220)は、CGベータのグリコシル化が実際にCGアルファと比較して、より長い半減期とより高い効力をもたらすことを確認しています。


この報告では、Longプロトコールで卵胞刺激にフォリトロピンデルタに追加されたCGベータの影響を調査しています。


初回または2回目のIVF / ICSIサイクルを受けていた女性(30〜42歳)が試験の対象となっております。


結果
合計620人が無作為化され、そのうち619人が卵巣刺激を開始しました。515人の女性がCGベータを使用し、104人の被験者がプラセボの投与となりました。サイクルのキャンセル発生率は低く、治療群間で差はなく(0〜2.9%)でした。移植キャンセルの発生率は、 プラセボ群 で8.9%で、CGベータ 1、2、4、8および12μg用量群でそれぞれ8.7%、12.1%、20.4%、20.6%および18.4%でした。 移植がキャンセルになった主な理由は、採卵後5日目に移植に利用できる胚盤胞がなかったことです。


・ホルモン状況について
血清FSHおよびLH濃度は、刺激開始時と刺激中の治療群間で差はなく、血清LHは、刺激期間全体を通して低レベルに維持されていました。血清hCG濃度は、CGベータ用量に比例し増加し、刺激6日目に安定した濃度に達しました。フェーズ1のデータから予測された濃度に基づくと、卵胞期のCGベータによる治療は、オビドレルによるトリガー後の黄体期のhCG曝露にわずかな影響を及ぼしました。
卵巣刺激中、血清エストラジオール、プロゲステロン、17-OHプロゲステロン、アンドロステンジオン、テストステロンは、CGベータの投与量の増加とともに増加しました。採卵日の血清プロゲステロンレベルを刺激終了時の卵胞の数とサイズで補正した場合でも、CGベータ用量に関連した血清プロゲステロンの低下が観察されました。血清インヒビンBおよびインヒビンA濃度は、発育卵胞数とサイズに応じて刺激中に増加し、刺激の終わりに、血清インヒビンBおよびインヒビンAレベルは、CGベータの用量の増加とともに減少しました。


・卵巣の反応と胚盤胞の質
卵胞数については刺激6日目で、治療群間にほとんど違いはみられませんでしたが、刺激終了時には、プラセボ群と比較して、CGベータ群に12〜17mmの卵胞の減少が観察されました。対照的に、17mm以上の卵胞の数は、CGベータ群とプラセボ群で変わりはありませんでした。刺激終了時の直径が10mm以上、12mm以上、15mm以上の卵胞では、CGベータ用量の増加に伴って統計的に有意に卵胞数の減少がみられました。
平均採卵数は、プラセボ群(12.5)と比較してCGベータ投与群(9.7から11.2)で少なく、平均MII卵数はプラセボ群(9.7)と比較しCGベータ投与群(7.3から8.4)で少ない結果でした。 3日目の平均胚数は、プラセボ群(7.4)と比較してCGベータ用量群(5.1から6.1)で少ない結果でした。
採卵後5日目の胚盤胞の状態は、良好胚盤胞の平均数は、プラセボ群(3.3)と比較してCGベータ用量群(2.1から3.0)で少い結果でした。この差は、1、4、8、および12μg群で統計的に有意でした。


・子宮内膜について
平均子宮内膜の厚さは、プラセボ群で刺激6日目の 7.0mmから刺激終了時の11.0mmに増加し、CGベータ用量群で刺激6日目の 7.2–7.5mmから刺激終了時 に10.2–11.0mmとなりました。子宮内膜の3層構造や子宮内膜のエコーパターンに違いはありませんでした。


・臨床転帰
CGベータ群の妊娠率は、胚盤胞数の減少のため悪くなっております。妊娠に関してはすべての項目で、CGベータ用量群で低い結果でした。βhCG陽性率は、CGベータ用量群で34.4%から47.9%であったのに対し、プラセボ群では49.8%であり、継続妊娠率はCGベータ用量群で28.4%から39.2%であり、プラセボ群では42.9%でした。胚移植を受けた女性では、継続妊娠率はプラセボ群で48.9%、1、2、4、8、12μg用量群でそれぞれ31.9%、34.5%、50.0%、47.1%、38.1%でした。


・安全性の結果
有害事象の発生率は、プラセボ群で48.1%であり、CGベータ用量群で39.6%から52.3%でした。有害事象の発生率においてCGベータの明らかな悪影響はありませんでした。


<まとめ>
今回のCGベータ用量は耐用性が良好で、安全性も確認されました。
ただ、CGベータ群の方が、臨床転帰は悪く今回のCGベータの用量が多すぎた可能性があります。 フォリトロピンデルタとCGベータの両方が同じヒト細胞株によって産生され、チャイニーズハムスター卵巣細胞株によって産生されるFSHとhCGよりも強力であることが示されています。 したがって、これら2つの新しい組換えゴナドトロピンの最適な比率や量を再確立することは、卵巣刺激のためのFSHとLHの両方の活性を含む組み合わせ製品を開発するために極めて重要です。と締めくくられていました。



hCGが用量依存的に卵胞数に影響を与える可能性があることは、ラットおよびマウスの研究で報告されています。胞状卵胞の数は、FSHの用量で2.5IUから10IUの範囲でFSH用量依存的に増加し、これにhCGを併用すると、卵巣重量はhCG用量依存的に増加すると報告されています。比較的低用量のhCGは、小さな卵胞から大きな卵胞へと発育させさらに、低用量のhCG(0.2か0.5 IU)で8 IU FSHを補給すると、すべてのサイズの胞状卵胞における閉鎖卵胞の発生率が減少しましたが、高用量のhCG(2または5 IU)では閉鎖卵胞数が増加したという報告があります。
中等度サイズの卵胞については、CGベータ投与しても影響しない可能性があります。
複数の卵胞発育を阻害する働きをするhCGやLHは、卵胞期後期に比較的高用量の組換えLHを投与された世界保健機関のI型およびII型無排卵症の女性で報告されています。また、他の報告で、組換えLHはアンドロゲンを介した卵胞閉鎖により、小さな卵胞(<10 mm)の減少をさせているのではないかと発表されています。
エストロゲンとFSHが卵胞閉鎖を抑制するため、卵胞閉鎖を防ぐのに十分な量のエストラジオールを生成する大きな排卵前卵胞では、低濃度のLHに対する反応はそれほど大きいものではないかもしれませんが、小さい卵胞では、アンドロゲン作用が卵胞閉鎖に関連している可能性があります。
そのためこの研究では、CGベータの量を減量し、FSH/LH比を調整すれば良い結果が得られるかもしれません。