NGS(次世代シーケンシング)によるPGT-Aが有効か?(40歳以下)

胚異数性の発生率が35歳未満では30%ー50%であるが、42歳以上では80%に増加しますが、正倍数性胚を移植すると、母体の年齢に関係なく着床率は変わらないと報告されています。実際、2016年の米国IVFデータは、染色体異数性(PGT-A)の着床前遺伝子検査後の凍結融解正倍数体胚移植において、年齢が上昇しても着床率の低下を示していませんでした。


今回、単一凍結胚盤胞移植後の進行妊娠率と生児獲得率を、NGSによるPGT-Aを行った正倍数体胚移植または形態のみによる胚移植を比較した報告をご紹介いたします。


2019年12月 Fertility and Sterilty
”Preimplantation genetic testing for aneuploidy versus morphology as selection criteria for single frozen-thawed embryo transfer in good-prognosis patients: a multicenter randomized clinical trial ”


対象:day6までに生検と凍結可能なgradeを2個以上の胚盤胞のある25〜40歳の女性


ランダム化は、35歳未満、35歳から37歳、および38歳から40歳の3つの年齢層によって層別化され、
対照群では、形態学的評価による最良好胚が凍結され、残りの胚盤胞は生検および凍結されました。 PGT-A群では、すべての良好胚盤胞が生検を受け、その後凍結されました。単一凍結胚移植を次のサイクルで実施。PGT-A群の移植された胚は、PGT-Aによる倍数体の結果と形態学的評価にて最良好胚が選ばれました。


331人が対照群、330人がPGT-A群に割り当てられました。ただ、正常胚が獲得できなかったため、PGT-A群の42人(12.7%)は胚移植できませんでした。
両群の1人あたり平均7.4個のday5/6の胚盤胞が得られました。 PGT-A群で分析された2,178個の胚盤胞のうち、939個(43.1%)は正倍数体、1,181個(54.2%)は異数性胚でした。


進行妊娠率は、PGT-Aと対照群間で有意差はありませんでした(50.0%:45.7%)。同様に、胚移植あたりの妊娠反応陰性、生化学的妊娠率、流産率も有意差ありませんでした。


ただ、サブグループ分析により、PGT-A群の35〜40歳において移植あたりの進行妊娠率が高いことがわかりました(50.8%:37.2%)。しかし、25〜34歳では変わりがありませんでした(49.3% : 53.0%)。
実臨床に近い結果が期待できるITT解析では、25〜34歳(42.5%:50.3%)、35〜40歳(41.1%:35.7%)の両群で有意差はありませんでした。


結論として、25〜40歳の進行妊娠率と生児獲得率の全体的な改善は示されませんでしたが、35〜40歳の女性にPGT-Aを使用した場合、凍結融解胚移植あたりの成績を改善することが示唆されました。


生検の時点で胚が孵化していない場合、着床率にマイナスの影響があることが報告されています。PGT-Aのための胚生検による侵襲が、正常胚移植の利点よりも上回っているのかもしれません。

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