採卵時に卵胞洗浄して取れた卵の発生能は低下する
採卵時に卵胞を穿刺し卵が確認できなかった場合、卵胞内を培養液で洗浄し卵を獲得することがあります。
洗浄の圧により、卵胞壁の早期破裂を引き起こし、卵の損傷を引き起こす可能性があります。また圧が卵の生理学的機能を変化させる可能性も報告されています。
今回この洗浄で得られた卵について検討された報告をご紹介いたします。
2019年12月 Reproductive Biology and Endocrinology
”The impact of follicle-flushing during oocyte collection on embryo development of in-vitro fertilization”
穿刺にて卵が回収できなかった場合、2mlの培養液で卵胞を洗浄しそれでも見つからなかった場合は最大6回まで繰り返す卵回収困難群(133人)とし、1回の穿刺で卵回収できた群をコントロール群(1581人)としています。
Long法でday3に新鮮胚移植を行っています。
2群間の成績を比較検討した後ろ向き研究です。
<結果>
卵回収困難群の方が、コントロール群比較して、穿刺数は有意差はありませんが、獲得卵数が9.08 ± 4.65個とコントロール群(12.13 ± 5.27個)と有意に低下していました。
正常受精率も低下し、day3の良質初期胚率も低下しました。
しかし、卵回収困難群の着床率は53.2%であり、コントロール群(58.7%)よりも低かったが、有意差はありませんでした。 また。臨床的妊娠率、出生率、早期流産率にも有意差はありませんでした。
児に関しても、早産や出生体重、2500g未満の割合も変わりませんでした。
<まとめ>
採卵時の卵胞洗浄と採卵時間の延長により、卵と胚の発生能が著しく低下しました。