コロナウイルス(SARS-CoV-2)患者の精液中のRNAの有無と精液所見

コロナウイルス(SARS-CoV-2)の精液に関する報告をご紹介いたします。



"Assessment of SARS-CoV-2 in human semen"


2019年12月、新しいタイプの肺炎が中華人民共和国湖北省武漢市で報告され、2020年2月に世界保健機関(WHO)によりコロナウイルス病2019(COVID-19)として定義されました。これまでのところ、コロナウイルスは主に呼吸器の飛沫を介して感染することが知られていますが、さらに、糞便、尿、血液などのさまざまなサンプルから検出されています。
精巣は血液精巣関門という機構で免疫に関しては守られてはいますが、一部のウイルスは血液精巣関門を通過し、局所炎症を引き起こし、急性感染後も持続する可能性があります。男性の生殖管にコロナウイルスが存在すると、精巣炎や精原幹細胞感染により男性の生殖能力が低下する可能性があり、流産、先天性疾患に影響を与える可能性があります。


本研究は、①COVID-19の男性精液所見の影響、②COVID-19感染の男性におけるSARS-CoV-2 RNAの存在について精液を分析しています。


SARS-CoV-2による感染から回復した18人の男性と、対象群14人の男性を比較検討しています。


中程度の感染症の患者さんは対象群・軽症群と比較すると、精子濃度、総精子数、直進運動率、運動率が統計的に有意に低下していました。


発熱の有無で分類したところ、精液量、運動精子数、および不動精子数に関して統計的有意差がありましたが、 値はすべて正常範囲内でした。


SARS-CoV-2 RNAの存在は、回復した被験者や急性感染した被験者からの精液サンプルで検出されませんでした。 


<まとめ>
軽症の SARS-CoV-2感染は、精巣および精巣上体の機能に影響を与える可能性は低いが、精液パラメーターは中等症感染後に影響を受けるようでした。
 感染から回復した男性や急性COVID-19感染症の男性精液にSARS-CoV-2は検出されずウイルス排出していないと推測されました。

×

非ログインユーザーとして返信する