胚移植前のhCG子宮内投与で妊娠率上昇

hCGを子宮内投与すると妊娠率が上がるのではないという報告はむかしからありますが、今回hCG子宮内投与により妊娠率が上昇すか調査したmeta-analysisをご紹介いたします。


2019年7月 Fertility and Sterilty
”Intrauterine injection of human chorionic gonadotropin before embryo transfer can improve in vitro fertilization-embryo transfer outcomes: a meta-analysis of randomized controlled trials”


hCGは、子宮内膜の増殖期から分泌期に様々なサイトカイン分泌を促進するのに重要な役割を果たします。さらに、着床ウィンドウ中に子宮内膜にさまざまなサイトカインの分泌を誘導すると報告されています。hCGはサイトカインシグナル伝達経路を調節することで胚着床になんらかの役割を果たす可能性があります。メタアナリシスおよび大規模な臨床試験が行われていますが、結果はさまざまです。
このメタアナリシスの目的は、IVFにおける子宮内hCG投与の効果を調査することです。


15件の報告がこのメタアナリシスに含まれており、子宮内hCG投与群(n = 1,406)と対照群(n = 1,357)に割り当てられた合計2,763人が対象となっております。
ET前のhCG投与時間の研究数は、15分未満(n = 10)、6時間(n = 1)、48時間(n = 1)および72時間(n = 1)であり、hCG投与量の研究数は、ET前に500IU(n = 12)、700IU(n = 1)、1,000IU(n = 1)でした。


<結果>
生児獲得率
生児獲得率は3件の研究で報告されており、hCG投与群は、対照群よりも1.89倍有意に生児獲得率は高い結果でした(44.89%(294/655):29.76%(211/709))。


継続妊娠率
継続妊娠率は6件の研究(1,364人)が報告されており、 hCG投与群は、対照群よりも2.02倍有意に継続妊娠率は高い結果でした(48.09%(189/393):33.42%(133/398))。


臨床妊娠率
臨床妊娠率は13件の研究(2,334人)が報告されており、 hCG投与群は、対照群よりも2.02倍有意に継続妊娠率は高い結果でした(47.80%(566/1184):32.78%(377/1150)。


着床率
着床率は7件の研究(3,585の胚移植)が報告されており、 hCG投与群は、対照群よりも1.60倍有意に着床率は高い結果でした(31.64%(585 / 1,849):22.52%(391 / 1,736)。


流産率
流産率は5件の研究(424人)が報告されており、 hCG投与群は、対照群よりも0.57倍有意に流産率は低い結果でした(12.45%(32/257):18.56%(31/167)。



<まとめ>
このメタアナリシスは、ET前に子宮内hCG注射群が有意に生児獲得率、進行妊娠率、臨床妊娠率、および着床率が高く、流産率低いことを示していました。
hCG投与時間に関して、15分未満のサブグループは、6時間および48時間以上のサブグループよりも生児獲得率、進行妊娠率、臨床妊娠率が高い結果でした。
投与量に関しては、500IUのサブグループは、700IUおよび1000IUのサブグループと比較して良好な結果でした。
この報告によると最適な用量および時間は、hCG500IUおよびETの15分以内でありました。

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