経時的形態動態と使用済み胚培養培地の酸化状態を組み合わせた新しい非侵襲的胚選択アルゴリズム

みなさんこんにちは


今回
経時的形態動態と使用済み胚培養培地の酸化状態を組み合わせた新しい非侵襲的胚選択法
を示した報告をご紹介します。


2019年5月 Fertility and Sterilty
”Novel noninvasive embryo selection algorithm combining time-lapse morphokinetics and oxidative status of the spent embryo culture medium”


胚の評価は、現在のところ形態学的評価が最適な方法となっています。しかし、形態学的評価は常に高品質の胚を示しているわけではなく、正倍数性を予測することはできません。


胚の質を評価する方法として着床前遺伝子スクリーニングによるものがあります。染色体が正常な胚を同定するための技術ですが、生検の手順が侵襲的でモザイクの危険性もあります。


非侵襲的技術としてピルビン酸塩、グルコース、乳酸、またはアミノ酸の代謝レベル、酸素消費を評価したりすることができるますが、コスト、必要な時間、手順の複雑さ、専門性の高さのため一般診療には適していません。


今回の報告はタイムラプスを使用した形態動態解析と培養液の酸化状態を組み合わせせ胚選択アルゴリズムを作成し非侵襲的ツールとして検証しています。



505個のドナー胚の使用済み胚培養培地を分析しています。
酸化状態分析のため、培養5日目の培養液をTCLアナライザーを用いて調べています。350〜600nmの波長範囲で300秒間、連続的なフォトンカウンティングを行い、著者の経験的に選択したH1(55秒での振幅)、H2(155秒での振幅)、およびH3(255秒での振幅)とし酸化ストレスと着床能について評価しています。


廃棄された胚の培養液の酸化状態と比較して、移植および凍結できた胚からの培地中で統計的に有意に高い結果でした。さらに着床した移植胚盤胞培養液もまた、着床しなかった培養液と比較して統計的に有意に高い酸化状態でありました。


ロジスティック回帰で、妊娠の最も予測的パラメーターとしてH2sm(H2平滑化アルゴリズム)を同定し、閾値H2smレベルが92.96 cps以上であれば、着床成功率の統計的に有意な増加と関連していました。
このロジスティック回帰分析結果のH2smと形態動態学的パラメータを組み合わせて、6つのカテゴリーに分れられました。



形態動態学的パラメータで分類し、次にH2smが92.96 cps以上かどうかで分類。
一番良好であればGradeAとし着床率が76.5%、B:68.8%、C:61.1%、D:57.9%、E:54.3%、F:29.2%とGradeが悪くなれば着床率が低下していました。


簡単に説明すると、タイムラプスで良好に発育している胚と酸化状態で6つにグループ分けし、形態動態良好で培養液の酸化ストレスの多い方が着床率が高いという結果でした。
形態動態学および胚培地の酸化状態を組み合わせたアルゴリズムは、現在の胚選択法の基準および体外受精の改善に役立ち得るのではないかと結論付けていました。

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