胚培養液をラマン分光法により分析し、胚正倍数性を予想する

みなさんこんにちは


今回
”胚培養液をラマン分光法により分析することで胚の正倍数性を迅速に低侵襲、低価格で予測できるのではないか”
という報告をご紹介します。


2019年4月 Fertility and Sterilty
”Raman profiling of embryo culture medium to identify aneuploid and euploid embryos”


着床前遺伝子検査(PGT − A)法は、胚の栄養外胚葉より細胞1個から数個の細胞を取り出し、次世代シークエンシング(NGS)技術またはアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーションにて検査を行います。NGSは正確ですが、侵襲的で時間がかかり、胚にダメージを与える可能性があります。


胚培養培地の培地中の代謝産物を測定することは、迅速、非侵襲的、感度が高く、臨床的に適用可能なプラットフォームを用いた胚の生殖能力を評価するための一つのアプローチであります。


この報告はラマン分光法という方法で、胚培養液の代謝産物を測定し、PGT-Aで正常胚・異数性と診断した結果を比較しています。


ラマン分析プロトコルを確立するために、87個の使用済み胚培養培地試料を収集した。 PGT − Aの結果により、正倍数性(n = 54)または異数性(n = 33)に分類されました。33個の異数性(165個のスペクトル)および54個の正倍数性(270個のスペクトル)のラマンスペクトルが得られ、さらに5回繰り返して測定し、220個の正倍数性スペクトルおよび165個の異数性スペクトルが得られました。
(ラマンスペクトルのデータ処理と解析法、機械学習スタッキング分類については省略します。)
培地対照群と比較して、正倍数性および異数性由来の胚培養培地は、胚の代謝活性が有意に異なっていました。低分子RNAおよび脂質に関連するラマンバンドの有意差も観察されました。ラマンスペクトルに基づいて正倍数性または異数性のいずれかを正しく割り当てる精度は95.9%を達成したということです。



胚の培養液を調べることで、正倍数性か異数性かを精度が高く予測できるかもしれません。PGA-Tは胚に侵襲的で検査も高価です。ラマン分析は1サンプルにつき5分かかり、費用は1サンプルにつき20ドルで行うことができるようです。


非常に興味深い報告です。
症例を増やし、大規模な研究が待たれます。

×

非ログインユーザーとして返信する