初回胚移植における子宮内膜のスクラッチ効果

以前にもご紹介したように子宮内膜をスクラッチすると妊娠率が上昇する可能性があるという報告は多くあります。


しかし、2019年1月 Hum Reprodで”胚移植が1,2回目では妊娠率が変わらないのではないか”と報告されています。


今回も"初回胚移植では効果がないのではないか”という報告をご紹介いたします。
以前の結果とほぼ変わりませんので簡単にご紹介します。


2019年4月 Fertility and Sterilty
”Endometrial scratching for infertile women undergoing a first embryo transfer: a systematic review and meta-analysis of published and unpublished data from randomized controlled trials”


以前にもご紹介しましたが、子宮内膜をスクラッチで妊娠率が上昇するメカニズムは不明です。
子宮内膜の脱落膜化が誘発され、胚への感受性が高まる可能性
サイトカインおよび成長因子の分泌を含む創傷治癒を誘発し胚移植に有利に働く可能性
子宮内膜の成熟を促進する可能性
などが報告されています。



7件の研究で、初回の胚移植受けてた合計1,354人の女性が含まれていました。 これらのうち、670サイクルをスクラッチ群に、684サイクルを対照群に割り当てています。


両群を比較すると、スクラッチは初回の新鮮/融解胚移植サイクルでの妊娠率、生児獲得率を改善しませんでした。 スクラッチ時期に関しては、低温期、高温期にしても変わりませんが、採卵時に行うと新鮮胚移植の成績は悪くなるというものでした。


しかし、今回の検討は大部分が初期胚移植についての検討での結果ですので、胚盤胞であれば違う可能性もあります。

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