卵巣刺激に正常に反応する方の刺激法

ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)が体外受精の卵巣刺激におけるガイドラインの指針案を発表しています。


本日は”卵巣刺激に正常に反応する方の刺激法”ご紹介致します。



①GnRHアゴニスト法とGnRHアンタゴニスト法


2017年のメタアナリシスにてGnRHアゴニスト法とGnRHアンタゴニスト法を比較すると、生児獲得率に差はないと報告されています。しかし、Long法とアンタゴニスト法を比較すると、アンタゴニスト法の方が卵巣過剰刺激症候群の発生率が低かったということでした。


GnRHアンタゴニスト法は、安全性の向上に関して正常反応と予想される方に推奨されています。(strong)


②クロミフェンクエン酸塩(CC)


2018年の25人の「予後良好患者」を含む1つのコホート研究においては、クエン酸クロミフェンプロトコルとGnRHアンタゴニスト法を比較し、クエン酸クロミフェンを使用した群において、採卵数が少ないと報告されました。 しかしながら、CCとGnRHアンタゴニスト法との間で臨床妊娠率に差はありませんでした。


正常反応が予測される方の刺激法でクエン酸クロミフェンの使用を推奨する証拠はありません。


③アロマターゼ阻害剤


20人の小規模RCTでは、GnRHアンタゴニスト法で、FSH群とレトロゾール+ FSH群を比較したところ、進行妊娠率・採卵数に有意差は報告されませんでした。


また、94人の小規模RCTも、GnRHアンタゴニスト法で、FSH群とレトロゾール+ FSH群を比較したところ、臨床妊娠率または成熟卵数に有意差は報告されませんでした。


ゴナドトロピンにレトロゾールを併用することは、正常反応が予想される方にはおそらく推奨されません。(Conditional)


④ゴナトトロピン減量
5件のRCT(960人)を含むメタアナリシスは、rFSHの100IU /日と200IU /日を比較したところ、臨床妊娠率・卵巣過剰刺激症候群のリスクに有意差はなかったが、rFSHの100IU /日群は採卵数が有意に少なかったと報告しています。
3件のRCTは、遅発FSH法(月経5日目から150 IU開始)と従来法のFSHを比較しています。 GnRHアンタゴニスト法における遅発FSH法とLong法における従来法を比較し、継続妊娠率に有意差はありませんでしたが、遅発FSH法で採卵数が有意に少ない結果でした。GnRHアンタゴニスト法において、遅発開始法と従来法を比較した場合、進行妊娠率・採卵数に差はないと報告されています。


ゴナドトロピン量を減らすことは、正常反応が予想される方にはおそらく推奨されません。(Conditional)

×

非ログインユーザーとして返信する