新型コロナウイルスワクチン接種後、流産のリスクは増加しない


でご紹介したように新型コロナワクチン接種により、体外受精の妊娠に関しては悪影響を確認できませんでした。この中の検討で新型コロナワクチン接種後の流産率は変わらないという結果でした。


今回、新型コロナウイルスワクチン接種後の流産のリスクを調査した系統的レビューとメタ分析が発表されていましたのでご紹介いたします。


Human Reproduction, Volume 38, Issue 5, May 2023, Pages 840–852


これまでの報告同様、妊娠を計画している女性が副作用を気にして新型コロナワクチン接種を躊躇することがありました。しかし、現在、アメリカやイギリスのほとんどの研究期間は安全性と有効性を支持しています。
シンシチン-1に対する自己反応性抗体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質との相同性により、胎盤損傷や早期流産を引き起こす可能性を報告されてはいましたが、Prasad、Klocらによると、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の構造とアミノ酸配列を検討したところ、シンシチン-1との相同性が低いことが示され、交差反応性と胎盤組織へ悪影響は否定されました。
 この報告は、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種を受けた女性の流産率と生児出産率を評価するために、系統的レビューとメタ分析を実施しました。


5件のランダム化対照試験(RCT)と16件の観察研究で、149~685 人の女性の妊娠転帰について報告しています。
研究では、ファイザー・バイオ(NTech BNT162b2 mRNA)、モデルナ(mRNA-1273 SARS-CoV-2)、ジョンソン(Ad26.COV2.S)、アストラゼネカ(ChAdOx1 nCoV-19)、シノファーム(BBIBP-CorV)、シノバック(CoronaVac)を含む6種類のワクチンが使用された。 10件の研究が1回のワクチン接種後の妊娠転帰、8件の研究が2回接種後の妊娠転帰、1件の研究が3回接種後の妊娠転帰を報告しています。


妊娠の転帰


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを受けた女性の対象としたすべての研究の流産率は9%でした(18件の研究、14,749/123,185)。 次に、新型コロナウイルス感染症ワクチンを接種した人と受けなかった人の流産リスクを比較したところ、両群間に有意差がありませんでした。


ワクチン接種を受けた女性のうち、妊娠が継続しているか出産している女性の全体的な割合は、報告されている人口レベルの77%と同等でした(14件の研究、103,240/117,766)。ワクチン接種を受けなかったグループと比較して、新型コロナウイルスワクチン接種を受けた女性の継続妊娠率・出産率は同等でした。


まとめ
新型コロナウイルスワクチンは、生殖可能年齢の女性における流産リスクの増加や妊娠継続率、出生率の低下とは関連していなかった。 


Stockらは妊娠中の新型コロナウイルス感染症に関連する流産やその他の有害な妊娠に関するリスクの増加を指摘しており、 MoodleyやAroraらはコロナワクチンは妊婦と児に新型コロナ感染症の影響を最小限に抑えるために重要と報告しています。

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