3Dエコーでの卵胞測定2Dエコーより成熟卵数を予測する?

一般に卵胞型を測定する場合、2 次元エコーで長径を測定もしくは、2箇所を測定し平均値にて卵の成熟を予想します。この報告では3 次元エコーにて卵胞体積を測定することで採卵時の成熟卵獲得を予想出来るか検討していますのでご紹介いたします。


Fertility and Sterility® Vol. 118, No. 5, November 2022 0015-0282


ゴナドトロピン刺激による卵巣の反応性の推定は、発育した排卵前卵胞数 (PFC) と獲得できた成熟卵(MII) 数に基づいています。 PFC は胞状卵胞数に依存するため、これら 2 つのパラメーター間の比率は、刺激に対する卵巣の反応を予測する胞状卵胞数 (AFC)単独よりも優れている可能性があります。Follicular Output Rate concept (FORT) は、PFC を AFC × 100 で割ったものとして定義され、V.K. Genroらにより2011 年に発表されています。排卵前の卵胞は、平均直径が 16 ~ 22 mm のものとされています。その後、高FORT は妊娠率が高く、MII 獲得数が高く、胚の質が良いと報告されています。低 FORT は、MII 卵数が少なく、妊娠率が低いことと関連しており、予後不良の患者の 次の周期を計画するのに役立つ可能性があります。驚くべきことに、患者を高、中、低の FORT に従って層別化すると、FORT と AFC 、抗ミュラー管ホルモンレベルとの間に負の相関関係がありました。


直径により胞状卵胞を層別化する場合、AFC の定義に 2 ~ 10 mm の卵胞が含まれていますが、5 ~ 6 mm 未満の小さな卵胞が真の機能的な卵巣予備能を表しているという報告もあります。卵胞は不規則な形状の構造であるため、2D超音波測定は不正確であり、観察者内および観察者間の変動性が大くなり、実際の卵胞容積との相関が低いと報告されています 。 3D で求められた容積は、卵胞の直径よりも真の卵胞サイズでありより信頼できる尺度であります。 


本研究では、排卵前の卵胞の体積 (FORT-V) と卵胞の直径 (FORT-D) を使用し、FORT を計算、成熟卵の採卵率 (MOOR) を予測します。容積ベースの排卵前卵胞を、容積が 0.7 cc 以上のものと定義しました 。体外受精[IVF]患者と卵子提供者の両方が別々に分析されました。


卵巣刺激治療を受けている 245 人 (97 人の卵子提供者と 148 人の IVF 患者) を対象としています。


すべてのケースで、2 段階評価プロトコルが使用されました。 AFCは2D超音波を使用して手動で行われ(手動AFC)、次にSonoAVCantralソフトウェア(SonoAVC、General Electric Medical Systems)を使用して卵巣の3Dボリュームが取得されました。トリガー日まで、排卵誘発中に連続的に超音波検査を行っています。各検査で、直径が 10 mm を超えるすべての卵胞を手動で測定する 2D 評価が行われ、最大直径の平均が計算されました。その後、刺激後の卵巣の 3D ボリュームが記録されました。 
 トリガー日の PFC 数が記録され、 2D および 3D 超音波測定を使用して、平均直径 16 ~ 22 mm の卵胞を排卵前とみなし、カウントしています。3D 超音波を使用して、体積が 0.7 cc を超える卵胞は排卵前とみなされ、カウントされました (PFC_volume)。 2 ~ 10 mm の卵胞を胞状卵胞としています。これらのパラメーターを使用して、FORT (PFC/AFC × 100) と MOOR (MII/AFC × 100) を計算しています。


手動 FORT = (手動 PFC/手動 AFC) × 100
コンピューターで求められたFORT = (コンピューターによる PFC/コンピューターによるAFC) × 10
FORT-V = (PFC_ボリューム/コンピュータによる AFC) × 100
手動  MOOR = (MII/AFC マニュアル) × 100
コンピューターで求められた MOOR = (MII/コンピューターによる AFC) × 100


この報告では、MOOR を予測する FORT-V と FORT-D について検討しています。また、コンピューターでによるAFC と PFC_volume の間の相関関係、および PFC_volume と MII 卵数の相関関係も検討しています。


<結果>
コンピューターによる AFC は、 IVF患者と卵子提供者の両方のグループで手動 AFC よりも多い結果でした (卵子提供者中央値: 4個差 、IVF 患者中央値:4個差)。 IVF 患者では手動 PFC とコンピューターによる PFC の間に有意差はありませんでしたが、卵子提供者ではコンピューターによる PFC の方が2個多かった。 PFC_volume は、両方のグループで手動よりコンピューターによる PFC が大幅に多い結果でした。 


手作業による FORT とコンピューターによる FORT の比較では、卵子提供者で有意差はみられませんでしたが、IVF 患者では、手作業による FORT はコンピューターによる FORT よりも大きい結果でした。卵子提供者と IVF 患者の両グループで、FORT-V は FORT-D よりも大きい結果でした。 


どのパラメーターが MOOR に最も近いかを判断するために、手動 FORT と手動 MOOR、コンピューターによる FORT とコンピューターによる MOOR、FORT-V とコンピューターによる MOOR を比較しました。結果は、FORT-V が MOOR に最も近い比率であり、卵子提供者で 10% (95% CI、6%–14%)、IVF 患者で 9% (95% CI、5%–13%) の差があることを示しました。


両方のグループで、コンピューターによる AFC と PFC_volume の間に直接的な相関関係がありました (卵子提供者 r = 0.63、IVF 患者  r = 0.80)。また、PFC_volume と MII 卵母細胞の数の間には有意な直接相関がありました (卵子提供者 r = 0.82、IVF 患者  r = 0.88)。


<まとめ>
この前向き試験では、卵巣刺激後の MII 卵母細胞数の予測において、3 D卵胞容積が卵胞直径の 2D 測定値よりも優れているかどうかをテストしました。コンピューターで求められた卵胞の体積に基づく FORT は、卵子提供者と IVF 患者の両群で直径の測定値に基づく FORT よりも優れていました。

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