ジドロゲステロンの周期的および連続投与は、子宮内膜症の女性の慢性骨盤痛を軽減するのに効果的

子宮内膜症治療にジドロゲステロンが有効という報告をご紹介いたします。


Fertility and Sterility Vol. 116, No. 6, December 2021 0015-0282


子宮内膜症は、慢性骨盤痛、月経困難症や卵巣予備能の低下、胞状卵胞数の減少、および抗ミューラー管ホルモンレベルに関連する不妊症をもたらす婦人科疾患です。ただ、、子宮内膜症はARTの妊娠結果に影響を与えないようです。子宮内膜症は、健康関連の生活の質(HR-QoL)と心理的幸福に悪影響を及ぼし、仕事、私的関係、性的幸福、および家族生活に悪影響を受けます。


治療薬は様々ありますが、今回はジドロゲステロンについても報告です。
ジドロゲステロンは、異所性子宮内膜組織の萎縮を誘発し、子宮内膜に影響を与えずにde novoでの子宮内膜組織の形成を阻害し、それによって子宮内膜症の症状を緩和します。投与方法としては、長期の周期投与法(月経周期の5日から25日の間)と1日10から30mgの範囲の用量での連続投与法があります。


この報告は、ロシアで収集されたデータに基づいて、子宮内膜症におけるジドロゲステロン治療の効果が治療方法の選択に関連しているかどうかを評価することを目的とした非介入の観察研究です。


この報告は前向き、非盲検、多施設観察研究で、慢性骨盤痛を伴う子宮内膜症の管理に対するジドロゲステロンの2つ投与法の有効性を比較しています。


ジドロゲステロンを月経周期の5日目から25日目(周期投与群)またはジドロゲステロン10 mgを1日2回または3回投与(連続投与群)を最大6サイクル以上継続しています。
プロトコールは、初回時(1回)、治療の3か月後(2回)および6か月後(3回)初回から6か月目までの慢性骨盤痛の強度変化を比較でしました。他に症状を客観的に評価するための、11ポイントの数値評価尺度(NRS)をとっています。副次的評価項目としては、慢性骨盤痛の強度、鎮痛薬を服用した月経周期あたりの日数、月経困難症の重症度、月経周期の持続時間、性的幸福、およびHR-QoLでした。


<結果>
350人が対象となっております。
治療の6か月後、慢性骨盤痛強度スコアのベースラインからの平均(SD)変化は、周期投与群では–3.3であり、連続投与法群では–3.0でした。それぞれ89.9%、81.8%は痛みの強さが減少しました。 ただ、2つのグループ間の有意差は統計的にありませんでした。


副次的評価項目としての慢性骨盤痛の強度、鎮痛薬を服用した月経周期あたりの日数、重症度は有意に改善しています。月経周期の平均期間に変化はありませんでした。子宮内膜症の症状の改善は、性的幸福の改善と、健康状態、精神的健康、痛み、身体的、役割、社会的機能を含むHR-QoLの改善を認めました。


治療群間では、慢性骨盤痛の強度と月経困難症の重症度を除いて、副次的評価項目に有意差はありませんでした。
連続投与群の方が周期投与群よりも慢性骨盤痛の強度と月経困難症の重症度は有意に改善がみられました。(分析集団によるもの)


研究中に5人の女性が妊娠しました。周期投与群で4人、連続投与群で1人。


<結論>
この大規模な観察研究の結果は、ジドロゲステロンの周期投与法および連続投与法が、慢性骨盤痛、鎮痛薬の必要性、および月経困難症の重症度を軽減でき、二つの方法とも同様に有効であることが確認できました。また、両方の投与法は、HR-QoLと性的幸福を改善するのに同様に効果的でした。

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