精子DNA断片化は累積出生率に影響する?

スウェーデンの子供の約4%は、IVFやICSIの生殖補助医療によって妊娠しています。患者や社会への負担を最小限に抑えるためには、出生率を可能な限り上昇させることが重要です。媒精cIVFにするかICSIにするかはswim up後の精液所見によって決まることが多いです。精子DNA断片化指数(DFI)がARTの成績と関連していることが報告されています。精子クロマチン構造アッセイ(SCSA)で評価したDFIがDFI≤20の治療と比較して> 20%の場合、出生のオッズ比は約0.6であると報告されています。 


Fertility and Sterility Vol. 116, No. 6, December 2021 0015-0282


この研究は、高DFIが累積出生率に与える影響を調査しています。次に、cIVFおよびICSIにおける受精率(FR)、さらには流産率に対するDFIの影響を調査しています。


2,713組のカップルで5,422回の新鮮および凍結胚移植が対象となっています。


<結果>
体外受精グループ(n = 1,718)では、71.2%(n = 1,224)のカップルがすべてのサイクルで体外受精を行い、27.7%(n = 476)がICSIへ変更しています。
平均(±SD)DFI値は、それぞれ12.9%(±7.46%)および15.7%(±9.12%)でした。


・DFIと受精方法および受精率
受精率はcIVFで49%、ICSIで59%でした。cIVFのDFIと受精率には、統計的に有意な負の相関がありました。ただ、ICSIの場合、有意な関連はありませんでした。


・DFIと受精方法および累積出生率
cIVFにおいて累積出生率は高DFIグループ(20%以上)と比較して正常DFIグループ(20%未満)の方が高かった(51.4% vs 56.6%)。女性年齢を調整しても統計的に有意なままでした。
ICSIにおいては高DFIグループと比較して正常DFIグループの累積出生率は有意差を認めませんでした。


・DFIと流産率
カットオフ値として40%のDFIを使用した場合、DFI値が40未満のグループの流産率は31.3%で、DFIが40%以上のグループ(39.1%)と比較した有意差を認めませんでした。


<結論>
精子DFIが20%以上のカップルは、DFI値が低いカップルと比較して、初回治療で受精方法をcIVFで行なった場合、累積出生率が低くなることがわかりましたが、ICSIでは関係がなかった。精子DFIは流産率に関係していませんでした。


ただなぜICSIではDFIが影響しないかは明確な理由は書かれていませんでした。

×

非ログインユーザーとして返信する