女性の年齢における胚盤胞異数性率に基づく反復着床不全

胚の異数性はARTが不成功になる原因であり、胚の発育停止、流産、妊娠しない主な原因です。35歳未満の女性でも胚盤胞のほぼ半分は異数性であるため、着床に悪影響を与える他の要因がない場合でも、移植されたすべての胚が着床して出生することを期待するのは非現実的です。また、女性の年齢が異数性率の最も強い要因であるため、移植された胚の正倍数性の状態または採卵時の女性年齢を考慮しない反復着床不全の定義は不完全で不正確であるということになります。


この報告は女性年齢における胚盤胞異数性率に基づいた反復着床不全について検討している報告をご紹介いたします。
Fertility and Sterility Vol. 116, No. 5, November 2021 0015-0282


この報告は着床に影響を与える要因がないという仮定のもとで、95%の累積着床確率を達成するために必要な胚盤胞の数を調査しています。


正倍数体胚盤胞の着床率は、女性の年齢とは無関係であり、45%から65%と報告されています。各胚盤胞の正倍数性の確率は女性の年齢に依存すると考えられています。これらを考慮して計算された結果は以下の通りでした。


35歳未満の女性は、正倍数体胚着床率が45%、55%の場合は7個の胚盤胞を移植後、正倍数体胚着床率が65%なら6個の胚盤胞を移植後に累積着床率が95%に達しました。高齢の方が累積着床率が95%に達するには胚盤胞は多く必要となります。たとえば、38歳を超える女性は、95%の累積着床率を満たすために、10個以上の胚盤胞を移植する必要がでてきます。


結論
女性の年齢で予想される胚盤胞の着床率、正倍数体の胚盤胞着床率、および累積着床率の閾値を考慮し反復着床不全の新しい定義を考える必要があります。

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