卵巣予備能低下している方は正倍数性の胚盤胞の発生率が低い

出産に至るために重要な要因として卵の質がありますが、加齢により卵の質と量の両方が低下することは確立されています。それでも、卵巣予備能指標である抗ミューラー管ホルモン(AMH)や卵胞数(AFC)は、女性により大きなばらつきがあります。


このような卵巣予備能の低下(DOR)している女性は、卵の量だけでなく質がどうなっているかは明確になっていません。


この報告はDOR女性が正倍数性胚盤胞の発生率がどうかPGT-A検査によって調査しています。


Fertility and Sterility
"Diminished ovarian reserve is associated with reduced euploid rates via preimplantation genetic testing for aneuploidy independently from age: evidence for concomitant reduction in oocyte quality with quantity"


卵巣予備能の低下はボローニャ基準に従っています。1,675回のIVFで1,152人の女性によって産生された8,073個の胚盤胞をPGT-Aを行ってます。胚盤胞の到達率は、年齢を調整したDORと非DORで変わりはありませんでした。
年齢別の正倍数性胚盤胞の割合を調べたところ、採卵時年齢が上がるにつれて、正倍数性の低下が認められました。
DORと非DORによって層別化された正倍数性胚盤胞率を比較したところ、非DORと比較して、DOR不妊症の女性は、35〜37歳を除くすべての年齢層で正倍数率が低い結果でした。全体として、DORのある女性の平均正倍数性率は29.0%でしたが、非DORでは44.9%と統計的に有意な差がありました。一般化線形モデルで年齢とPGT-Aを調整した後、DORは非DORと比較して、正倍数性であるオッズが23%減少していました。


二次分析にて年齢で調整し採卵時MII数で基準を満たしたDORでの解析では、1サイクルあたりの平均正倍数率はDORで37.6%であったのに対し、非DOR女性で41.7%でした。年齢とPGT-Aプラットフォームを調整すると、DORは非DORと比較して生検胚盤胞が正倍数体である確率が22%減少しました。


臨床医がDORと診断した女性の場合、胚移植あたりの妊娠反応陽性率は65.8%でしたが、非DORでは65.3%でした。グループ間で流産率、生児獲得率に差は観察されませんでした。


<まとめ>
この研究では、DOR女性に由来する胚盤胞は、年齢を調整した後、正常な卵巣予備能を持つ女性に由来する胚盤胞よりも正倍数性である可能性が低いことを観察しました。これは、卵巣予備能量の相対的な減少が、残りの卵も同時に老化している可能性があることを示唆しています。

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