ERA検査を初回移植前に行っても妊娠率は改善されない

体外受精はSteptoe and Edwards時代のサイクルあたり6%の臨床妊娠率から現在では正倍数性胚の移植あたりの出生率が47%-57%まで、比較的短い歴史の中で劇的に改善されています。ただ、正常な胚を移植しても、妊娠率は100%ではなく、着床の窓(WOI)と呼ばれる子宮内膜受容能のあると期間が考えられています。マイクロアレイ技術とNGSの出現により、子宮内膜の研究は大幅に洗練されています。子宮内膜受容性アレイ(ERA)は、248遺伝子の子宮内膜発現を測定し、患者の子宮内膜を受容前、受容、または受容後として分類する新しい検査です。この受容能を検査し、WOIのある時期に胚移植をおこなう方法があります(pET)。ERAの最初の研究は、組織学的な測定よりも正確で観察者間のばらつきが少なく、29〜40か月後の将来のサイクルで再現可能であります。


 RCTでは、標準的なタイミングでの胚移植および新鮮胚移植と比較したERAによって導かれたpETの結果が調査されています。この研究では、pET群で1年(プロトコルごと)の累積出生率(LBR)が改善され、1年の累積妊娠率が改善されたことが報告されています。ただ、pETの時期が変わった症例数が少ないようでした。


 今回の報告は、初回単一正倍数性胚移植サイクルでのERAの日常的な使用がLBRを改善するかどうかを調査しています。


”Routine endometrial receptivity array in first embryo transfer cycles does not improve live birth rate”


<結果>
 合計228人が研究期間中に初回単一正倍数性胚移植を受けました。カウンセリングの後、147人(64.5%)がERAを行い、81人(35.5%)が標準的なタイミングで胚移植を行っています。 ERAの結果は60/147人(40.8%)で受容性であり、87/147人(59.2%)で非受容性でした。非受容性ERAの振り分けは、81/87人(93.1%)で前受容性であり、6/87人(6.9%)で後受容性でした。受容前のERAのうち、45/81人(55.6%)は受容前(+24時間)でしたが、35/81人(43.2%)は受容前(+12時間)であり、1/81人(1.2%)は受容前+48時間でした。受容後のERAのうち、5/6人(83.3%)は受容後(-24時間)であり、1/6人(16.7%)は受容後(-12時間)でした。


 ERAしていない標準的なタイミングで胚移植を行った群と生検およびERA / pETを受けた群で比較しました。グループ間で生児獲得率、臨床妊娠率、hCG陽性率、生化学的妊娠率、または流産率に差はありませんでした。正倍数体胚の数と年齢を調整したロジスティック回帰モデルでは、ERAを受けた人と受けなかった人の間で生児獲得率に差はありませんでした。


 プロゲステロン注射のみ(64.2%)を使用した147サイクルのサブ分析にて、標準的なタイミングでの胚移植とpETをでの胚移植において、生児獲得率、臨床妊娠率、hCG陽性率、生化学的妊娠率、または流産率に有意差はありませんでした。


<まとめ>
 受容能に関係なく、標準的なタイミングでの胚移植とERA / pETを行った群間で生児獲得率、臨床妊娠率、hCG陽性率、生化学的妊娠率、または流産率に差はありませんでした。


こん報告によるとERA検査は値段も高く、侵襲もありルーチンで行うことは勧められないようです。興味深い報告でした。

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