流産処置の違いでその後の妊娠までの期間は変わるか?

流産の頻度は、年齢にもよりますが、約10%から15%ほどおこると報告されています。


残念ながら流産された場合、待機的にみる方法や手術する方法、海外では薬物療法などあります。どの方法にもメリット、デメリットがある何が一番よいという方法はなかなか難しいです。手術療法には、子宮穿孔、感染、頸部損傷、および麻酔関連の合併症を伴うことがわずかにあります。海外で行われている薬物療法に関しては成功率が80%を超え、治療後の感染率(3%〜4%)ほどであり効果的であることが証明されています。合併症の発生率と長期的な影響は広く研究されてきましたが、その後の短期的な妊娠の影響はあまり調査されていません。 流産後の不妊症は、骨盤内感染が原因起こる卵管の損傷や子宮内の癒着を引き起こす可能性があります。


流産処置から妊娠までの5年までの長期的な経過は介入の違いで変わらないと報告されていますが、短期的な経過はあまり報告されていません。


今回早期流産に対する薬物治療と外科的介入後の短期間での妊娠までの期間を比較している報告が発表されましたのでご紹介いたします。


Fertility and Sterility
”Conception rates after medical versus surgical evacuation of early miscarriage”


頭殿長で定義される11週未満のしくは最後の月経期間から13週未満で18〜40歳の早期流産の患者さんが研究の対象としています。


早期流産と診断された女性により、薬物治療と外科的介入が選択されました。
97人が薬物治療を受け、106人が外科的介入
6ヶ月以内での妊娠の有無、その後の妊娠転帰、および治療が成功したかどうかが調査されました。


<結果>
治療後6か月の妊娠率は、薬物治療:68.0% 外科的介入:65.1%と両群変わらないという結果でした。因子を調整後も介入の違いで妊娠率は変わらない結果でした。さらに、累積妊娠率も、治療後3、9、および12か月で両群に差がありませんでした。
妊娠までの平均期間は、薬物治療:123±79日と外科的介入:130±76日で変わりはありませんでした。


薬物治療群の22人(22.7%)は、さらなる外科的介入が必要でした。
外科的介入の3人(2.8%)が胎盤遺残の子宮鏡検査を受け、2人(1.9%)が外科的介入から6か月以内に子宮内癒着を診断されました。


<まとめ>
この調査結果は、早期流産の薬物治療と外科的介入後の次の妊娠までの期間は変わらず、流産、早産、生児獲得率などの妊娠転機は同等であることを示しています。

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