採卵時に卵を獲得ができない時の人工授精

卵巣刺激を受けている20人のうち約1人は、5つ以上の成熟卵胞を獲得できないと報告されています。反応の悪い患者さんは、人工授精(IUI)への変更や採卵周期のキャンセル、もしくはそのまま採卵を行います。2つ以下の卵胞の場合、IVFとIUIの生児獲得率が2.6倍高かったという報告もあります(9.3%対3.4%)。卵胞が1つしかない方は、8.6%で卵を獲得できませんでした。採卵で卵が獲得できなかった場合、IUIを行うこともあります。このアプローチの有用性と、卵が獲得できなかった方がIUIを受けるサイクルの特徴を検討した報告をご紹介いたします。


Fertility and Sterility Reports
”Outcomes in, and characteristics of, patients who undergo intrauterine insemination immediately after failed oocyte retrieval”



9年間で、57人で63サイクルが対象となり、卵回収できなかった後にIUIが行われました。平均年齢は39.6歳であり、不妊原因が卵巣予備能低下(94.7%)、男性因子不妊症(24.6%)でした。平均抗ミューラー管ホルモンレベルは0.5ng / mLでした。


刺激方法は調節卵巣刺激(64.9%)、modified 自然周期(21.1%)、自然周期(8.8%)であり、平均胞状卵胞数は4.2個、トリガー時の主席卵胞径は19.8mm、14 mm以上の卵胞の平均個数は1.9個でした。


IUIを受けた57人の患者のうち、妊娠して出産したのは1人だけでした(1.8%)。データのある28例のうち、60.7%(17例)にその後のIVFがキャンセルされています。またART治療を行った(n = 46)のうち、3例が自身の卵で出産をしていました(6.5%)。


まとめ
採卵時の卵が獲得できない症例は、卵巣刺激の反応が悪い患者さんで高くなります。採卵同日のIUIは、生児獲得の可能性が2%未満でありました。さらにIVFを試みた患者さんのうち、3分の2近くがその後に体外受精がキャンセルされ、10%未満が最終的に自身の卵で出産されました。

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