重症ではない男性不妊症のカップルにおいて卵細胞質内精子注入法(ICSI)と媒精(cIVF)の産科および周産期転帰

今回、重症ではない男性不妊症のカップルにおいて卵細胞質内精子注入(ICSI)と媒精法(cIVF)の産科および周産期転帰を比較した報告をご紹介いたします。


Fertility and Sterility
”Obstetric and perinatal outcomes of intracytoplasmic sperm injection versus conventional in vitro fertilization in couples with nonsevere male infertility”



1992年に、卵細胞質内精子注入法(ICSI)が、重度の男性不妊症を治療するために導入されました。最近では、従来の体外受精の媒精法(cIVF)が選択肢となる方にICSIを行うことが増加しています。ヨーロッパでは、ICSIは胚移植サイクルの80%以上で行われており、中東および南アメリカでは、ICSIはIVFサイクルの100%で実行されています。米国でもに増加しており、非男性因子不妊症で増えています。


ICSIには、侵襲的な手順であり、絶対に安全であるとは言い切れません。そこで重症ではない男性不妊症のカップルにおいて卵細胞質内精子注入(ICSI)と媒精法(cIVF)で妊娠した方の産科および周産期転帰を後ろ向きに比較しています。


生児獲得率(41.68%vs。43.11%)、臨床妊娠率(53.18%vs。53.69%)、および流産率(21.62%vs。19.37%)はICSIもcIVFも統計的に変わりませんでした。
出生体重も身長も統計的に変わりませんでした。
母体の有害な合併症のリスクに関して、グループ間に有意差はありませんでした。
胎児の奇形に関して、ICSIは先天性異常のリスクを上昇させませんでした。


サブグループ解析では中等度の男性不妊症カップルでは、NICUへの入院はICSIで妊娠した乳児(6.58%)と比較してcIVFで妊娠した乳児(10.91%)でより多い結果でした。


まとめると、この研究は、不妊のすべての原因にICSIを使用しても利点が得られないことを示しました。中等度の男性不妊症のカップルにICSIを適用すると、NICU入院のリスクが軽減される可能性があります。しかし、どのサブグループがICSIにより改善するかを決定するには、適切に設計された多施設RCTが不可欠です。




ICSIを行なったからNICUの入院が少ないというのは理由がわかりませんが、その他にICSIを行えば何か改善するわけではないという報告ですが、最後に書いていたように前向き多施設RCTの結果を待ちたいです。

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