赤ワインの抗酸化作用
こんにちは
本日はレスベラトロールについてご紹介します。
赤ワインから見つかったレスベラトロールは、抗酸化作用、エストロゲン様作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用など様々な生理作用の存在が知られています。
不妊治療においては、内服することで卵子の質を改善する可能性が知られています。
今回このレスベラトロールを培養液に添付することで、加齢卵の質が改善したという最新の報告をご紹介します。
“Resveratrol improves in vitro maturation of oocytes in aged mice and humans”
加齢マウスとヒトの未熟なGV卵(第一減数分裂前期の卵)をレスベラトロール添付した培養液で体外成熟培養を行います。そうすることで加齢マウスおよびヒトの未熟なGV卵において第一極体の放出率が上昇し、そして加齢マウスにおいて受精率及び胚盤胞形成率が上昇しました。さらに、ミトコンドリアの免疫蛍光強度および体外成熟培養を受けた卵の紡錘体および染色体の形態は、加齢マウスおよびヒトにおけるコントロールと比較して顕著に改善されました。
次にレスベラトロールの濃度を検討しました。加齢マウス卵において1.0μM濃度のレスベラトロール添加培養液で培養することにより抗酸化遺伝子の増加を認めました。0.1μMや10μMでは抗酸化遺伝子の増加を認めませんでした。
つまり、培養液に添加したレスベラトロールは加齢マウスにおける卵の成熟および胚盤胞形成を誘導し、加齢したヒトでは卵の成熟および質の改善を認めました。1.0μMレスベラトロールが体外成熟の適切な培養濃度でありました。
難しいので簡単にまとめると
“レスベラトロール1.0μM添加した培養液で、加齢卵の質が改善した”
ということです。
レスベラトロールを内服するだけではなく、培養液に入れても卵の質が改善する可能があるという報告でした。
この報告だけで今後どうこうなるわけではありません。
ウシでも同様の報告があるようです。追加報告を待ちたいと思います。
補足:
・GV卵の減数分裂が進むと第1極体を放出する。
・卵における細胞エネルギー代謝に不可欠なミトコンドリアは、カルシウム恒常性の維持およびアポトーシスの調節にも必要である。その結果、ミトコンドリア機能障害は、加齢卵の細胞障害と不妊の原因となる。
紡錘体:染色体を極に移動させる繊維性の構造。これがうまく働かないと染色体を移動させることができない。