ARTで生まれた子供の成長パターン

ARTによって妊娠した子供の成長パターンを自然に妊娠した子供と比較している報告をご紹介致します。ノルウェーの母子コホート研究(MoBa)に参加した81,461人の子供を対象に、胎児期から7歳までの成長を評価しています。17歳での体の大きさのは、兵役のためにスクリーニングされた544113人の青年のデータを使用して調査されました。


自然妊娠の子供が79740人、ARTの子供が1721人でした。 自然妊娠した子供のうち、5279人の子供が妊娠まで1年以上たっていました。


・胎児期
合計1252人の胎児が凍結・新鮮胚移植由来で、妊娠約18週頃超音波測定を受けました。新鮮胚移植後に妊娠したものよりも凍結胚移植後に妊娠したものの方が大きくなる傾向がありました。


・出産から7歳までの成長
ART後の子供の平均出生体重:3608 g、身長:50.5 cmであったのに対し、自然妊娠した子供では平均出生体重:3495 g、身長:50.2 cmでした。ART後の子供は、生後18か月で急速な成長していました。ART後の子供は、約1歳以降7歳まで平均出生体重はわずかに重く身長は高くなりました。
妊娠まで1年以上かかった親から生まれた子供も、ART後に生まれた子供ほど小さくはありませんが、出生時は小さく、生後1年間はARTによって妊娠した子供と同様の急速な成長を示しました。


・ARTに関して7歳までの成長
出生時、新鮮胚移植によって妊娠した子供は自然妊娠した子供よりも小さかったが、凍結胚移植後に生まれた子供は自然妊娠した子供と変わりはありませんでした。6歳まで凍結胚移植の子供は、新鮮胚移植の子供よりも重いままでした。 すべてのARTの子供たちは、出生後の急速な成長をしていました。 新鮮胚IVF、新鮮胚ICSI、凍結胚IVF、凍結胚ICSIを自然に妊娠と比較すると、IVFとICSIによる成長の違いはほとんどありませんでしたが、新鮮胚と凍結胚では違いがあるようでした。


・17歳での違い
自然妊娠とART妊娠の身長・体重の違いは非常に小さいものでした。 凍結胚移植と新鮮胚移植を比較した場合、測定値の違いはありませんでした。


<まとめ>
ARTによって妊娠した子供は、自然妊娠した子供と幼い頃の成長が異なっていました。 この違いの一部はARTの手順による可能性がありますが、妊娠まで1年以上かかった親から生まれた子供も成長が似ており、親の生殖能力の問題に影響を与える根本的な要因も反映していいるかもしれません。 凍結胚移植と新鮮胚移植後に生まれた子供においては体重と身長の違いは年齢とともに減少し、17歳までにほとんどなくなりました。


乳児期の急速な成長は、後の心血管代謝に有害である可能性があります。また、体外受精後に生まれた子供たちの急激な体重増加に関するある研究では、8〜18歳で血圧が高くなると報告されています。体外受精後に生まれた子供たちの長期的な健康については、より多くの情報が必要です。

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