卵巣刺激しても、異常胚の割合は増加しない

女性は35歳以降、生児獲得率の低下と流産率の上昇が起こります。34歳以降には胚の染色体の異数性が急激に増加するためです。したがって、卵巣刺激の主な目的は、複数個卵胞を発育させ正常胚を得る可能性を高めようとすることです。しかしながら、採卵数を増加させると、腹腔内出血、卵巣捻転、および卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を含む合併症のリスクを増加させます。


卵巣刺激が卵に悪影響があるのではないかという報告もあります。
そのため、今回ご紹介する報告は刺激期間、総ゴナドトロピン投与量、採卵数、トリガー日のE2レベルまたは卵胞サイズが、胚異数性率または生児出生率(LBR)に影響を与えるかどうか調査しています。


Human Reproduction
”No effect of ovarian stimulation and oocyte yield on euploidy and live birth rates: an analysis of 12 298 trophectoderm biopsies”



2230のIVF / PGT-Aサイクルで、12,298個の胚が染色体数を分析され、930の単一胚移植が行われています。

生検された胚の数、正倍数率、および正倍数胚数は、最も若い年齢層で最も高く、女性の年齢とともに徐々に減少しました。正倍数性胚が得られなかったサイクルは、35歳未満の女性で最も低く(5.2%)、42歳以上の女性で最高(74%)となっていました。
女性の年齢に関係なく、ゴナドトロピン総投与量、卵巣刺激の期間、トリガー日の最大卵胞のサイズ、ピークE2レベル、および採卵数は胚の異数性率・LBRに影響を与えていませんでした。


この報告によると、卵巣刺激を行なっても胚の異数性率は変わらないという結論でした。今までの報告と同様OHSSに注意しながら、ある程度卵巣刺激を行なった方が、正常胚を獲得できる可能性が増えるようです。

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