極体生検による染色体スクリーニング検査は1年間の累積妊娠率を上昇させるか?

こんにちは


本日は極体の染色体を調べることで1年間の累積妊娠率が上昇するか調べた報告をご紹介いたします。


2018年9月 Human Reproductionから報告された
“Preimplantation genetic testing for aneuploidy by microarray analysis of polar bodies in advanced maternal age: a randomized clinical trial”
です。


胚の数的染色体異常は、着床不全や流産を引き起こす主な原因と考えられています。PGT-A(PGS)は着床前遺伝子検査として知られていますが、無作為化臨床試験において、PGT-Aでは妊娠率を上昇することはできず、場合によっては妊娠率を低下したことなどさまざま報告されております。今回は栄養外胚葉ではなく極体を生検・染色体分析した受精卵の報告になります。
極体は卵子が放出したものであるため、卵子側の染色体を間接的に検査することとなります。極体には23本の染色体があるはずですが、染色体検査し21本しかない場合、卵子には25本の染色体があることと判断し異常な染色体と考えます。


この報告は第一極体および第二極体の23本の染色体分析が、36-40歳の女性において1年間の累積妊娠率を増加させるかどうか検討したものです。


205人がPGT-A群(研究グループ)、191人がPGT-Aを行っていない群(コントロールグループ)に割り当てられた。


生児獲得率は、PGT-A群205人のうち50人(24%)、コントロール群で191人中45人(24%)と有意差はありませんでした。1個でも極体染色体検査できた180人の参加者のうち、65人(36%)は、正倍数性の卵が0であることが判明しました。この報告ではコントロール群でET回数および妊娠反応陽性数が多かったが、生児獲得率は同様でありました。
流産率は、PGT-A群がコントロール群より有意に少なかった(7対14%; P = 0.02)。
生児獲得までの時間を示す曲線は主に重複しており、PGT-A群とコントロール群において妊娠までの時間に有意差はありませんでした。


まとめ
PGT-Aは累積出生率を上昇させないが、流産の減少や妊娠期間の短縮などの改善がみられるという報告が多い。またRubioらの研究では高齢になるとPGT-Aがより効果的になるかもしれないと報告しています。
この報告は36〜40歳の女性を対象としておりますが、極体生検による染色体分析は生児獲得率、妊娠までの時間に有意差はありませんでした。しかし、流産率は有意に低下していました。

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