低グレード胚盤胞でも、妊娠すれば流産や周産期転帰などは良好胚と変わらない

低グレード胚盤胞でも、妊娠すれば流産や周産期転帰などは良好胚と変わらないという報告をご紹介いたします。


Human Reproduction, 2023, 38(12), 2391–2399


低グレード胚盤胞は、妊娠率は低いものの出産につながる可能性はあります。低グレード胚盤胞移植後の臨床転帰については、臨床データが少ないために十分に研究されていません。


低グレード胚盤胞が出産する可能性と、単一胚盤胞移植を受けたカップルの周産期転帰と胚盤胞のグレードの影響を評価するために、大規模な多国籍多施設観察研究を実施されました。


<結果>
10,018人、10,964回の単一胚盤胞移植が対象となり、良好胚盤胞は 4386 個、中等度の胚盤胞は 3735 個、低グレード胚盤胞は 2843 個ありました。生児出生率は、良好、中等度、低グレード胚盤胞群でそれぞれ 44.4%、38.6%、30.2%でした。 良好胚盤胞と比較して、低グレードおよび中等度グレード群は出生率は低かった。ICMがグレード Aの胚盤胞と比較して、グレード B 、C の胚盤胞は出生率が低かった。TEも同様の所見がみられました。臨床妊娠率に関しても、生児出生率と一致していました。


ICM と TE の両方の低グレード胚盤胞では、ガードナー分類のCC と CB の周期あたりの出生率はそれぞれ 13.7% と 24.6% でした。ただ、AC、CA、BC は33%と同等でした。 CC、CB、BC 胚盤胞は、良好胚と比較すると生児出産率が有意に低い結果でした。CAとAC 胚盤胞は、数が少ないため、統計学的有意差を出せませんでした。


すべての胚盤胞のグレードにより、より高齢の女性の予測出生率が低いことを示しています。 たとえば、低グレード胚盤胞移植を受けた 25 歳の女性の予測生児率は 40%ですが、低グレード胚盤胞移植を受けた 35 歳の女性の予測生児率は は 21% でした。


流産に関しては、低グレード胚盤胞と良好胚盤胞の間、または中等度グレード胚盤胞と良好胚盤胞の間に統計的に有意な差はありませんでした。


周産期の転帰
単一胚盤胞移植後の単胎生児出生数は 4,132 例であった。 早産率、出生体重Zスコアにおいて、低グレード胚盤胞と良好胚盤胞の間に有意差はありませんでした。


<まとめ>
この研究では、良好胚盤胞(AA、AB、または BA)と比較して、低グレード胚盤胞(ICM または TE の C)の出生率は、約 30% という有意に低いですが、ある程度は期待できる出生率でした。CCの胚盤胞であっても、生児出生率は 14% でした。年齢に関しては、高齢の女性であっても、低グレード胚盤胞移植による生児出生率は15%を超えています。 流産または周産期転帰に関して、胚盤胞のICMやTE のグレード間に差異はありませんでした。

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