失業と流産の関係

 流産は、臨床的に確認できた妊娠の 11 ~ 21% が流産となり、流産の約 0.3 ~ 0.5% は死産になると報告されています。


 これまでの報告では、母親の高齢化、染色体異常、ライフスタイル要因、遺伝的背景など、流産の原因が明らかになっています。さらに、自然災害、大気汚染、経済低迷など、妊娠中の環境ストレスにさらされることも、流産となる可能性があります。 経済的負担や過度の仕事など、ストレスの多いイベントは、妊娠初期および後期の両方で流産のリスクが高くなります。 


 この研究は、妊娠に関する情報と女性とパートナーの雇用履歴を利用することで、妊娠中に女性またはパートナーの失業にさらされることによって流産のリスクが変化するかどうかを調査している報告をご紹介いたします。


Human Reproduction, Volume 38, Issue 11, November 2023, Pages 2259–2266


結果
英国の人口ベースの調査結果によると、妊娠中の自身やパートナーの失業は、失業のない女性と比較して、流産リスクが1.985倍増加していることを示していました。


原因として、ストレス源に対する生理学的反応は、Nepomnaschyによると副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH)、副腎皮質刺激ホルモン、コルチゾールの生成を引き起こすと報告されています。これらのホルモンは流産のリスクを高めることがわかっており、CRH は子宮収縮や死産の危険因子である早産を引き起こす可能性があります。
また、収入の減少により、出生前のケアが制限されリスクのある妊娠は発見が遅れたり、発見されなかったりする可能性があり、流産の危険にさらされる可能性が高まります。


さらに、Gaileyらによると妊娠中にパートナーの失業にさらされると、在胎期間には影響を受けませんが、低出生体重児のリスクが高まると報告しています。

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