子宮内膜のスクラッチ効果

子宮内膜をスクラッチすると妊娠率が上昇する可能性があるという報告は多くあります。


子宮内膜をスクラッチで妊娠率が上昇するメカニズムは不明ですが、
子宮内膜の脱落膜化が誘発され、胚への感受性が高まる可能性
サイトカインおよび成長因子の分泌を含む創傷治癒を誘発し胚移植に有利に働く可能性
子宮内膜の成熟を促進する可能性
などが報告されています。


子宮内膜のスクラッチは反復着床不全の方などに行われることがありますが、
以前ご紹介した報告においてスクラッチの効果がみられそうな対象としては、
胚移植2回以上しても妊娠していない方で、新鮮胚移植サイクルに効果をもたらしそうであるということでした。


今回ご紹介するのは、”胚移植が1,2回目では妊娠率が変わらないのではないか”という内容です。


2019年1月 Hum Reprod
Decrease in pregnancy rate after endometrial scratch in women undergoing a first or second in vitro fertilization. A multicenter randomized controlled trial


18〜38歳、体外受精が1.2回目の方を対象とし
内膜スクラッチ(ES)群:採卵周期前の月経20−24日目に内膜スクラッチし、採卵後2,3日に胚移植。
非ES群:スクラッチなしに胚移植。
に分けられました。
胚移植はES群で68回、非ES群で64回施行され、治療結果を比較しています。


<結果>
臨床妊娠率は、ES群で23.5%(16/68)、非ES群で35.9%(23/64)でした。(有意差なし)
流産率、子宮外妊娠率、多胎率は両群で有意差を出すことができませんでした。


有害事象としては、胚移植を受けた132人のうち23人(17.4%)が卵巣過剰刺激、骨盤痛、腹痛、出血などの有害事象を認めました。(ES群では8/23人、非ES群では15/23人。)


<まとめ>
内膜スクラッチは、IVFサイクルが初回または1回で妊娠しなかった女性において、臨床妊娠率を改善しないことが示唆されました。 



この報告は、採卵が1,2回目の若い方を対象としています。卵巣機能の悪い方、40歳以上などを中心とした集団ではどうなるかも気になります。"凍結胚移植ではスクラッチの効果は認めない”や”卵胞期にスクラッチしても妊娠率の改善がない”などの報告もあり、この報告の結論でも書かれていたように、どの集団が内膜スクラッチの恩恵を受けるかをより明確するために、サブグループ分析に焦点を合わせた報告が待たれます。






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