採卵前のプロゲステロン上昇について

こんにちは


本日は卵巣刺激周期における卵胞期後期のプロゲステロン上昇についての報告を紹介したいと思います。


“Premature progesterone elevation in controlled ovarian stimulation: to make a long story short“


みなさんよくご存知かもしれませんが、”卵胞期後期のプロゲステロン上昇は新鮮胚移植の妊娠率を低下させる”という報告が多く存在します。
このような方は卵胞発育がよく全胚凍結することで新鮮胚移植(採卵周期に胚移植すること)、卵巣過剰刺激症候群を回避することが多いです。


一般的に排卵前はプロゲステロンは低値ですが、卵巣刺激中に卵胞期後期にプロゲステロンが上昇(progesterone elevation :PE)することがあります。


しかし、なぜプロゲステロンが上昇するか、すべてわかっているわけではありません。
PEは、卵巣刺激による外因性ゴナドトロピンが作用することから生じる現象ではないか
と書かれています。
簡単にいうと、「注射や内服で卵胞を育てると、たくさん卵胞ができプロゲステロンを出す細胞も増えるため排卵前にプロゲステロンが産生される。」のではないかといわれています。
この排卵前のプロゲステロン上昇が新鮮胚移植に悪影響をもたらす可能性があるのです。


以下の3つのことについて紹介します。
① どのくらいプロゲステロンが上昇すれば妊娠率に影響するか?
多くの研究者が閾値を0.9 ng / mLとしていましたが、1.2 ng / mLや1.5 ng / mLと設定し検討している報告もあります。さらに数千のIVF-ETサイクルを含むメタアナリシスでは、プロゲステロンレベルが0.8 ng / mLを超えると妊娠率に悪影響を及ぼすことを報告しております。様々な報告を検討したところ卵巣機能が良い群では低下した群と比較して、プロゲステロンレベル1.8-2.25ng / mlまで妊娠率は低下しなかった。多数卵胞形成されればプロゲステロンは上昇しやすいため、プロゲステロンと卵胞の比で検討している報告もあります。


→もちろんプロゲステロン値がいくつ以上で妊娠率が低下するとは結論付けできません。しかし卵巣機能が低下している場合はより新鮮胚移植の妊娠率に影響する可能性はあるかもしれません。
妊娠には胚の質や子宮内膜が影響しますので、以下検討しています。


② PEが胚の品質に及ぼす影響を及ぼすか?
ほとんどは胚の質には影響しないという報告でした。しかし、最良好胚の胚盤胞到達率はPEにより低下するという報告も最近出てきました。さらなる報告を待ちましょう。


③PEが子宮内膜の受容性に影響するか?
血漿プロゲステロンレベルが約1〜2ng / mLに上昇することで、子宮内膜を変化させ、子宮内膜受容性のタイミング(着床の窓)が変化する可能性を報告されています。さらに最近、マイクロアレイに基づく研究では、卵胞期の終わりに1.5ng / mLを超える早期プロゲステロン上昇が、子宮内膜遺伝子発現の変化や、子宮内膜におけるエピゲネチィックな変化を誘導することが示されています。


まとめますと
PEは、卵巣刺激による外因性ゴナドトロピンが作用することから生じる現象であり、おそらく子宮内膜を分泌期へ変化させる。この現象が子宮内膜受容性を変化させ新鮮胚移植後の妊娠率を低下させるかどうかは依然として議論の余地があります。卵巣機能が低下している場合はより影響する可能性はあるかもしれません。そのような場合、PEがみられれば全胚凍結の選択も考慮する必要がある。


ということなので、PEが認められれば今まで通り全胚凍結でも良いかもしれませんが、卵巣機能が低下している方はより新鮮胚移植を回避し胚凍結を考慮した方がよいかもしれません。

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