FSHで卵巣刺激してもクロミフェンと妊娠率も多胎率も変わらない

排卵誘発剤を使用した人工授精(IUI)は、自然周期でのIUIと比べ妊娠率が上昇するが、多胎妊娠の可能性が増加します。2007年に発表されたCochraneのレビューによると、クエン酸塩クロミフェン(CC)よりFSHで排卵誘発した方が妊娠率は上昇し、双胎率は変わらなかったと報告しています。しかし、FSHで排卵誘発した方が多胎妊娠の可能性が増加したという報告もあり、結論が得られていません。


今回、FSHまたはクロミットで排卵誘発したIUIを行い、多胎妊娠を減らすため、IUIの中止基準を厳しく設定した場合の治療成績を比較検討した報告をご紹介いたします。


2018年9月 Human Reproductionから報告された
Follicle stimulating hormone versus clomiphene citrate in intrauterine insemination for unexplained subfertility: a randomized controlled trial
です。


厳格なIUI中止基準を遵守し、100mgのCCを用いた卵巣刺激と比較して75IUのFSHによる卵巣刺激の有効性を研究することを目的としています。


患者さんの対象は、1年妊娠していない原因不明不妊症で調整前運動精子300万以上、18歳から43歳、定期的な月経周期、少なくとも片側卵管が開存している方としています。
IUI中止基準は経腟超音波で直径が14 mm以上の小胞が3個以上、または径が12 mm以上の小胞が5個以上見られた場合としました。最大4サイクル、または6ヶ月以内に妊娠するまで治療しています。


結果
738組の夫婦中、369の夫婦がFSHに、369の夫婦はCCで卵巣刺激に割り当てられました。6ヶ月以内にFSH治療群で113例(31%)、CC治療群で97例(26%)妊娠しました(有意差なし)。双胎はFSH治療群では5例(1.4%)、CC治療群では8例(2.2%)であった(有意差なし)。品胎以上は認めませんでした。生児獲得はFSH治療群では105人(28%)、CC治療群では92人(25%)であった(有意差なし)。3つ以上の卵胞発育は、FSHとCCに差は認めませんでした(有意差なし)。FSH治療群とCC治療群で妊娠までの時間に差はありませんでした。
多胎妊娠率は、卵胞1個発育で0.2%、2個卵胞発育で0.7%でしたが、3個卵胞発育で1.8%と卵胞1個発育の 8.0倍も多胎になることがわかりました。


まとめ
厳しいキャンセル基準を設けた卵巣刺激を行なったIUIは、卵胞発育数を抑えることで多胎率を抑え、妊娠率をある程度期待できます。そのため、IVFは費用が高く体にも負担がかかることを考えると、IUIも有効であることがわかりました。
また、CCはFSHと比較して、妊娠率、生児獲得率、妊娠までの期間、双胎率において両群に統計学的有意差がないことを示していました。


この報告を参考にすると、CC 100mgとFSH 75IUは患者さんの負担を考えるとCCで卵巣刺激を行なった方がよさそうですね。



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