採卵数が少ない方は新鮮胚移植の方がよい?

こんにちは


現在全胚凍結し、凍結胚移植を行っている施設が多いと思いますが、本日ご紹介する報告は、誘発剤に中等度もしくは低反応である方は新鮮胚移植の方が妊娠率、生児獲得率が良いという報告です。


Fertility and sterility 2018
"Freezing of all embryos in in vitro fertilization is beneficial in high responders, but not intermediate and low responders: an analysis of 82,935 cycles from the Society for Assisted Reproductive Technology registry"


1回の採卵で回収できた数により分類
低反応群:1~5個の採卵数
中間群:6~14個の採卵数
高反応群:15個以上の採卵数


69,102回の初回新鮮胚移植、13,833回の全胚凍結後の初回凍結胚移植の計82,935サイクルが分析されました。
妊娠率、流産率、生児獲得率、出生体重など調査しています。


<結果>
採卵数の増加につれ、初回胚移植あたりの妊娠率は増加していました。 低反応群の妊娠率は、新鮮胚移植(33.2%)が凍結胚移植(15.9%)よりが高い結果でした。 中間群でも、両群の差は減少したものの、新鮮胚移植で妊娠率が高い結果でした。 高反応群では、妊娠率は凍結胚移植(61.5%)が新鮮胚移植(57.4%)より高い結果でした。


流産率(臨床妊娠あたり)は、中間群は新鮮胚移植と凍結胚移植の間で統計的に有意な差はありませんでしたが、低反応群および高反応群の凍結胚移植ではわずかに高い結果でした。 
生児獲得率は妊娠率と同じ傾向を示し、低反応群(25.9%対11.5%)および中間群(41.2%対35.3%)では新鮮胚移植で高く、高反応群では凍結胚移植(48.9%対52.0%)で高い結果でした。
出生体重は凍結胚移植の方が重く、中間群(平均54g)、高反応群(平均96g)であった。


結論として、全胚凍結は、採卵数15個以上の高反応群の妊娠成立に有益であることを見出しました。しかし、中間および低反応群では、新鮮胚移植後の妊娠率および生児獲得率が高い結果でした。この報告によると 全胚凍結が卵巣の反応に関係なく全ての患者にとって有益であり得るという考えに反論しています。




採卵数15個以上取れるような方は卵巣過剰刺激症候群を避けて、全胚凍結にすることが多いと思いますし、低反応の方はもともと妊娠しにくい可能性もありますのでもっと細かいデータがあれば良いと思いました。

×

非ログインユーザーとして返信する