胚盤胞期胚の静止画像をAIでランク付けする

本日は、胚盤胞期胚の静止画像をAIでランク付けする報告が発表されましたのでご報告いたします。
Fertility and Sterility Vol. 117, No. 3, March 2022 0015-0282


胚の評価と選択は、体外受精の手順で最も重要なステップの1つです。胚盤胞培養を行い、内細胞塊、栄養外胚葉の細胞によりガードナー分類で胚選択を行うことが一般的かと思われます。ただ、培養士同士でも評価が違うこともあり、胚移植の優先順位が常に明確であるとは限りません。アルゴリズムベースのランク付けシステムが開発されていますが、これらのアプローチは依然として手動であり主観性によって制限されているため、さまざまなIVFクリニックや研究所間でうまく一般化できていない可能性があります。人工知能(AI)は、胚を自動に評価し、手動での主観性を排除するために、最近IVFの分野に導入されました。胚の自動に評価をAIで行う潜在的な利点は、標準化の向上と、人間の目には明らかではない微妙な特徴を識別する機能が含まれます。ただ、トレーニング中に意図しないバイアスがモデルに導入される可能性があります。
この研究では、深層学習を使用して胚盤胞期胚をランク付けするための新しい一般化可能なモデルを紹介しています。


アメリカの11クリニックから集められたデータを使用した後ろ向き研究です。
胚盤胞の画像は、移植、生検、凍結保存の前に単一の画像をキャプチャし、妊娠率を予測できるか調査しています。


<結果>
臨床妊娠を予測するためのAIモデルのAUCは、すべての胚(FHB結果を伴う移植胚および非移植異数性を含む)で0.74、新鮮および凍結非PGT胚で0.65、正倍数体胚で0.63でした。正倍数体胚の場合、AIモデルAUCは、全体的に手動評価(+ 10%)を上回り、画像を撮影した日(5日目は+ 7%、6日目と7日目は+ 11%)を上回りました。AIモデルのAUCは、手動評価を上回りました(正倍数体胚の場合は+ 6%〜+ 17%、非PGT胚の場合は+ 3%〜+ 10%)。タイムラプスデータのAIモデルAUCは、新鮮および凍結された非PGT胚で0.63、正倍数体胚で0.62でした。


AIモデルのトレーニングテストの過程で、バイアス原因として2つ特定されました。
1つ目のバイアスの原因は、顕微鏡とカメラでした。
2つ目のバイアスの原因は、生検の直前に画像をキャプチャしたためマイクロピペットを保持している胚が存在したためでした。


AIモデルが高得点をつけた胚の目視検査では、ほとんどが完全に拡張した胚盤胞であり、内細胞塊が密に詰まっており、栄養外胚葉の細胞パターンが対称的であることが示されました。


<まとめ>
この研究は、胚盤胞期の胚をランク付けするためのAIの可能性を示し、画質、バイアス、スコアの精度に関連する潜在的な制約を強調しています。



タイムラプス動画を用いた研究では、ビデオ全体を分析に使用した場合にAIモデルのAUCが最も高いものがいくつか報告されていますが、データセットの大部分には廃棄された胚が含まれているため、今回の研究とはそこが違うと述べられていました。

×

非ログインユーザーとして返信する