内膜症手術において、術前よりジェノゲストの方がGnRHaを使用するより卵巣予備能を維持できる?

今回、嚢腫切除術の適応となる子宮内膜症患者の卵巣予備能維持のために、周術期にジェノゲスト投与した方がゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRHa)治療よりも有益という報告をご紹介いたします。


Reproductive Biology and Endocrinology volume 19 : 179 (2021)


子宮内膜症は、子宮外の子宮内膜組織の発達であり、骨盤痛と不妊症を引き起こします。ホルモン治療もありますが、薬剤投与中は妊娠することができず、手術で内膜症を切除する方法もあります。ただ、内膜症切除により、卵巣の正常部分も手術で取り除かれることがあるため、卵巣予備能が損なわれる可能性があります。


術前のGnRHaおよびジエノゲスト(DNG)治療は、手術前の痛みを伴う症状を改善し、子宮内膜症のサイズを小さくし炎症を抑制することにより腹腔鏡手術を簡素化する方法として一般的に行われています。


この研究は、ホルモン療法が卵巣子宮内膜症に対する嚢腫切除術後の卵巣予備能に影響を与えるかどうかを評価しています。


<方法>
22人がGnRHaで治療され、27人がDNGで治療しています。
卵巣予備能検査として、抗ミューラー管ホルモン(AMH)があります。手術の1か月前と2か月前、および手術後1、2、6、12か月にAMHを測定。子宮内膜症のホルモン治療に対するサイトカインおよび成長因子を入院時と手術後2か月に調べています。


<結果>
術後1年の血清AMH比は、DNG群の方がGnRHa群よりも有意に高かった
GnRHaグループの17人の患者のうち17人(100%)はAMHレベルの低下を示したが、DNGグループの23人の患者のうち5人(22%)は治療前のレベルと比較してAMHレベルの上昇を示した。GnRHaグループの患者はいずれも手術後1年でAMH値の70%を維持できませんでしたが、DNGグループの23人の患者のうち14人(60%)はAMH値の70%以上を維持できました
子宮内膜症は炎症性腹膜環境に関連しているため、サイトカインおよび成長因子を測定したところ、IL-6はDNG群でホルモン治療後4か月で低値でありました。


<結論>
子宮内膜症嚢腫切除術の適応となる子宮内膜症患者の卵巣予備能維持のために、周術期のDNG治療はGnRHa治療よりも有益であると考えられました。




DNGは周術期の子宮内膜症関連の炎症反応を減らすことによって卵巣予備能の維持に効果的であると報告されている。また、DNG治療は、基礎FSH分泌を維持し、一次および小胞状卵胞の成長を促進し、手術前であっても、投薬後のAMHレベルを上昇させることが示唆されています。そのため、GnRHaより効果的であった可能性があります。

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