刺激周期直後の周期に凍結胚移植したほうがよい?

今回ご紹介するのは、刺激周期の直後の月経周期で凍結胚移植を行った方が良いのではないかという報告です。


Human reproduction, 2021-04-22, Vol.36 (7), p.1832-1840


凍結胚移植は妊娠率やOHSS予防などを考慮し行われることが多いですが、行われる時期についてはあまり報告されていません。
採卵直後の周期で移植しても1周期あけても妊娠率が変わらないという報告や直後の周期の方が妊娠率が高いという報告もあります。


この報告は、採卵ご次の周期で移植した場合とその後に移植した場合の妊娠率を比較しています。
中国の不妊女性 724人を対象としています。
①刺激周期後の月経周期で凍結胚移植した群:362例
②2回目以降の月経周期で胚移植を行った遅延群:362例
すべてホルモン補充周期で行われ、継続妊娠率を比較しています。


継続妊娠率は①刺激周期後移植群で有意に良好な結果でした。
①刺激周期後移植群:49.6%
②遅延群:41.5%


生児獲得率も①刺激周期後移植群で有意に良好な結果でした。
①刺激周期後移植群:47.2%
②遅延群:37.7%


流産率は①刺激周期後移植群で有意に低い結果でした。
①刺激周期後移植群:13.2%
②遅延群:24.2%


多変量解析では継続妊娠率が①刺激周期後移植群で有意に良好な結果でした。


<まとめ>
①刺激周期後移植群は、②遅延群よりも、継続妊娠率と生児獲得率が有意に高く、凍結胚移植後の流産率が低かった。凍結胚移植後の継続妊娠率と生児獲得率を改善するために、刺激直後に凍結胚移植を行うことをお勧めしますとのことでした。



ただ、この改善の理由は不明とのことでした。
卵巣刺激は、子宮内膜のステロイドホルモンの作用により、新鮮胚移植周期で子宮内膜の受容性に有害な影響を与える可能性があると報告されています。刺激周期直後の月経周期において、卵巣刺激が子宮内膜の受容性に良い効果をもたらすかもしれないとのこと。
ほかに周期が遅れることによるストレスかもしれないとのことです。
患者背景で年齢がわずかに①刺激周期後移植群で若かったのも一つかもしれません。

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