卵巣機能低下症例で正倍数性胚盤胞を1つでも獲得できる可能性

卵巣機能低下症例で正倍数性胚盤胞を1 つでも獲得できる可能性を検討した報告をご紹介いたします。


Fertility and Sterility® Vol. 120, No. 3, PT. 2, September 2023 0015-0282


卵巣機能低下(POR)を定めた基準が以下の2つあります。POSEIDON 基準と Bologna 基準です。


・POSEIDON 基準 
グループ I : 35 歳未満、AMH ≥1.2 ng/mL または AFC ≥5、過去の採卵で MII卵 が 10個未満
グループ II : 35 歳以上、AMH ≥1.2 ng/mL または AFC ≥5、過去の採卵で MII卵が 10個未満
グループ III : 35 歳未満、AMH <1.2 ng/mL、または AFC <5
グループ IV : 35 歳以上、AMH <1.2 ng/mL、または AFC <5


・Bologna (ボローニャ)基準 (下の3 つの基準のうち 2 つを満たしているか、ゴナドトロピンの最大投与量で2周期キャンセルがあった場合)
①40歳以上
②AMH <0.5~1.1 ng/mL、または AFC <5~7
③前周期で採卵数が 4 個未満


この報告は、サイクルごとにPOSEIDON基準と Bologna 基準の 2 つに分類し、正倍数性胚盤胞を採卵周期1回でどのくらい獲得できるか検討しています。


POR の分類
4,928 人から合計 6,889 サイクルが分析に含まれました。
・POSEIDON 基準
3,653 サイクル (53.0%) がPOR として分類
グループ I : 100/6,889 (1.5%; 1.2% ~ 1.8%) 
グループ II : 222/6,889 (3.2%; 2.8% ~ 3.7%)
グループ III:817/6,889 (11.9%; 11.1% ~ 12.6%)
グループ IV :2,514/6,889 (36.5%; 35.4% ~ 37.6%)


・ボローニャ基準
1,612/6,889 (23.4%、22.4% ~ 24.4%)サイクル が POR として分類


サイクルあたりの採卵数と胚盤胞獲得について
・POSEIDON基準
卵巣予備能検査(AMHやAFC)と獲得できたMII数の中央値に明らかな関連性がありました。卵巣予備能検査が良好な POSEIDON グループ (I および II) は、卵巣予備能検査が悪いグループ (III および IV) よりも有意に多くの MII卵を獲得できました。
胚発生も同様にPOSEIDON グループ (I および II) はグループ (III および IV)より胚盤胞数も多く獲得していました。 ただし、グループ III はグループ IV よりも多くの胚盤胞を獲得できました。


・ボローニャ基準
POR として分類されたサイクルは、すべての結果において非PORより結果が大幅に悪くなりました。 ボローニャ基準による非 POR 周期では、MII が 10 個、2PN が 8 個、胚盤胞が 4 個の中央値でしたが、POR として分類された周期では、それぞれ 3 個、3 個、1 個でした。


PGT-A を実施した場合、1 サイクルあたりの正倍数性胚盤胞数は、非 POR (POSEIDON システムによる) とグループ I とⅡで同様でしたが、他の各グループでは有意に低い結果でした。ただ、グループ IIとⅢ の正倍数性胚盤胞の数は同様でした。


正倍数性率
サイクルあたりの正倍数性率は患者の年齢と関連していました。
・POSEIDON基準
グループ I は、非 POR と同様の正倍数率を示しました (68% 対 78%)。 
グループ II の正倍数率 (50%) は非 POR と比較すると有意に低く、グループ III (60%) は II より有意に高く、グループ IV は POSEIDON 分類で最も低い正倍数率 (33%) でした。 
・ボローニャの基準
全体で最も低い正倍数率でした (23%)。


正倍数性胚が 1 つ以上ある周期
正倍数性胚が1 つでもある周期の割合を比較したところ、POSEIDON グループ I が非 POR と同様であることが明らかになりました (97% 対 92%)。他のすべてのグループは統計的に有意であり、低い率でした(グループ II: 78%、グループIII:71%、グループIV : 44%)。 ボローニャ基準による POR の結果は最も悪い結果でした (32%)。



まとめ
POSEIDON 基準の年齢は35歳で分かれていますが、ボローニャ基準の年齢は40歳以上が含まれています。このことより、最も予後が悪いグループである POSEIDON グループ IVよりもボローニャ基準のPORの方が成績が悪いことがわかりました。


POSEIDON 基準のグループ I は、35 歳未満、AMH ≥1.2 ng/mL または AFC ≥5、前周期の採卵で MII卵 が 10個未満であり、POR として分類された唯一のパラメータは、前周期での反応が不良であったことのみです。これらの患者の転帰が非 POR と同様であることを考慮すると、POSEIDON I 分類は POR とみなされるべきではありませんということでした。

新しい着床前診断の報告

 異数性着床前遺伝子検査(PGT-A)は、胚の着床する部分である栄養外胚葉の細胞を5−10個ほど採取し異数性の有無を調べます。しかし、胚に侵襲を伴うものであり、胚生検のリスク、手技によっては着床に影響する可能性もあります。ここで2013年Paliniらが、胚生検の代わりに胚の使用済み培養培地から遺伝情報を取得した報告を発表しました。この非侵襲性・低侵襲性の異数性着床前遺伝子検査 (miPGT-A)に関する研究は増加していきました。


 今回この非侵襲性・低侵襲性の異数性着床前遺伝子検査 (miPGT-A)についての報告がありましたので、ご紹介いたします。


Fertility and Sterility® Vol. 120, No. 2, August 2023 0015-0282



 従来の PGT-A と比較して、非侵襲的 PGT-A (niPGT-A) は使用済み胚盤胞培養液の使用に重点を置いているのに対し、低侵襲性のPGT-A(miPGT-A)は胞胚腔液 (BF:胚盤胞の内側の細胞の空間にある液体) を使用します。



ただ、これらはまだ栄養外胚葉の遺伝子検査とは一致しない結果も報告されています。


・非侵襲的 PGT-A (niPGT-A) :使用済み胚盤胞培養液
 Kuznyetsov Vらによると、使用済み胚盤胞培養液を用いた非侵襲的 miPGT-Aは、DNA は断片化されており、通常は低濃度 (培地の約 8% に胚 DNA が含まれます)と報告されています。研究では、培養液の選択が長期的な影響を及ぼし、胎児の発育や出生体重などのパラメーターに影響を与える可能性があることが示されています。 これは、培養液がアポトーシス、タンパク質分解、代謝、細胞周期制御因子の遺伝子発現に与える影響によるものと考えられます。 したがって、培養液も無細胞 DNA の利用可能性に影響を与える可能性があると考えられます。 培養液の組成に加えて、胚が培養液に曝露される時間も多くの研究の対象となっている。 現在、ツーステップ(シーケンシャル)メディウムシステムとワンステップ メディウムシステムの両方が存在します。 シーケンシャルメディウムでは、移植および凍結保存の前に培地が交換されますが、ワンステップメディウムでは、胚は培養期間中同じ培養液で培養されています。現時点では、各メディウムが非侵襲性 miPGT-A に与える影響は不明です。


 非侵襲性 PGT-A を商業的に成功させるためには、従来のPGT-Aと同じくらい培養液から確実にDNAを獲得できるかどうかです。培養液検査に関しては、胚が成長するにつれて DNAを培養液に排出するというものです。アポトーシスなど壊死のメカニズムが断片化した DNAを培養液に放出している可能性があります。ただ、放出されるDNA が胚のDNA と一致するというものから、胚は正倍数性で「異常」であるDNA を培養液に廃棄しているのではないかとするものまで多岐にわたります。


一致率
Liuら(2017)    26/31 (83.9)
Capalboら(2018)   27/72 (37.5)
Rubioら(2019)    866/1108 (78.2)
Chenら (2021)    190/256 (74.2)
Xieら(2022)      111/147 (75)
Hoら(2018)      10/12 (83.3)



・低侵襲性のPGT-A(miPGT-A)は胞胚腔液(BF)
 胞胚腔液は、胚盤胞の内側の細胞の空間にある液体です。従来のPGT-Aで行う栄養外胚葉生検の代わりに BF を使用します。胚生検ではなく、胞胚腔の液体の針で吸引が含しDNA採取します。この胞胚腔に流出した DNAは、培養液に流出した DNA よりも胚の情報をよりよく表している可能性があるという報告もあります。ただ、細胞接合部から胚腔内に挿入する針を使用するため、この方法は侵襲的であると考えられます。従来のPGT-Aで行う栄養外胚葉生検と BF の一致率は論文でさまざまですが、Gianaroli らの報告では 97.4% の一致率が確認されています。


・非侵襲的 PGT-A (niPGT-A) と低侵襲性のPGT-A(miPGT-A)の組み合わせ
 非侵襲的検査の 3 番目のアプローチは、使用済み培養液と胞胚腔液の組み合わせです。 SBM と BF を組み合わせると、Kuznyetsovらは、非侵襲的 PGT-A (niPGT-A) と低侵襲性のPGT-A(miPGT-A)の組み合わせと 従来のPGT-Aで 97.8% の一致を報告しています。
ただ、一致率が高いですが、非侵襲的miPGT-A を強力な臨床有用性を備えた信頼できるツールとして利用する前に、追加研究と理解が必要であります。


PGT-A 検査全般において、万能ではなく遺伝カウンセリングは患者ケアにおいて極めて重要な役割を果たします。 モザイク胚移植や異数性リスクはより複雑になるため、新しい PGT-A を遺伝カウンセリングと組み合わせて適用することで、理想的にはリスクを増大させることなく、患者に広範な情報を提供できるようになります。

新鮮胚盤胞移植は新鮮初期胚移植と周産期転帰は変わらない

 体外受精(IVF)/顕微授精(ICSI)において長期胚培養(受精後5日または6日の胚盤胞の段階での胚移植)は、ここ10年間で着実に増加しており、 初期期胚(受精後 2 または 3 日)よりも、胚移植あたりの妊娠率および生児出産率が高くなり、選択的単一胚移植により多胎妊娠のリスク減少させることもできます。 ただ、胚の長期間曝露が、周産期の安全性に悪影響を与える可能性を報告している方もいます。
 イギリスの全国データによると新鮮胚盤胞移植後と初期期胚移植後の出生児の周産期転帰を比較したMarconi Nらの研究では、長期培養によるリスクの増加は示されていません。ただ、この研究は 2011 年までのデータに限定されています 。
 英国の新しいデータが利用可能になったため、この報告は新しい匿名化データ(HFEA)を分析して、新鮮胚盤胞移植後と新鮮初期期移植後の出生児の周産期転帰を比較しています。


Fertility and Sterility® Vol. 120, No. 2, August 2023 0015-0282


2012 年から 2018 年の間に 集められたHFEA データで、単胎出産に至ったART総数は 114,261 回でした。 単胎出産に至った IVF/ICSI サイクル数60,926 回が分析に含まれた。胚盤胞は 42,677 周期で、初期期は 18,249 周期でした。 




出生時の在胎齢
新鮮胚盤胞移植の単胎生児出生では、新鮮初期胚移植後よりも早産の割合が高かった (7.8% 対 7.2%) 。ただ、交絡因子を調整した後は両群変わりはありませんでした。 超早産単胎生児出生率は、胚盤胞群と初期胚群で変わりありませんでした (1.6% 対 1.6%)。 


出生体重
低出生体重児は、新鮮胚盤胞期胚移植で初期胚胚移植よりもわずかに高い結果でした。 巨大児 (6.2% vs. 6.6%) および 超巨大児 (1.1% vs. 1.2%) の割合は、胚盤胞期群の方が初期胚群よりわずかに低かったが、超低出生体重児の割合は変わりませんでした(1.6% 対 1.6%)。 ただ、交絡因子を調整した後、低出生体重児、超低出生体重児、 巨大児、超巨大児のリスクはほとんど差がありませんでした。


まとめ
イギリスの全国データを分析したこのコホート研究において、新鮮胚盤胞移植は、新鮮初期胚移植と比較して、出生時の在胎週数および出生体重に悪影響を及ぼさないと考えられます。 しかし、検査および臨床手順の進歩を考慮すると、胚盤胞胚移植後の妊娠における周産期転帰をモニタリングし続けることが重要です。

"poor responder"において卵巣刺激を変更する必要があるか?

 注射に対する卵巣の反応が悪い"poor responder"においてどういう卵巣刺激のプロトコールが最適であるか、また、初回採卵後、次の刺激は他のプロトコールに変更することにより良い結果につながるかどうかはわかりません。卵巣刺激・排卵抑制のため、さまざま薬剤がありますが、ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬(GnRHa)のフレアプロトコール(「フレア」)は、低用量のロイプロリド(リュープロン)を投与することで下垂体に働きかけ内因性の卵胞刺激ホルモン(FSH)産生を刺激すると、卵巣のFSHに対する反応性が高まると考えられているため、注射の反応が悪い方に使用されることがあります。また、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストプロトコル(「アンタゴニスト」)は、LHサージを抑制し排卵抑制を行う方法ですが、どちらのプロトコールが"poor responder"にあっているかは結論が出ていません。



因果分析技術と、生殖補助医療協会報告システム (SART CORS) のデータベースからデータを利用して、反応の悪い"poor responder"にとって”フレア”と”アンタゴニスト”のどちらのプロトコールが良いかを調査した報告をご紹介いたします。


Fertility and Sterility® Vol. 120, No. 2, August 2023 0015-0282


初回体外受精サイクルを行っている抗ミュラー管ホルモン [AMH]<0.5 ng/mLの方を対象に調査しています。 次に、反応が悪かった初回体外受精サイクル(採卵個数が 4 個未満)と2 回目のサイクルについては別々に検討されました。採卵数、受精卵母細胞(2PN)、総胚盤胞、累積生児出生率(CLBR)、および周期キャンセル率が比較検討されました。



フレア サイクル(N = 5,263 )と アンタゴニスト サイクル(N = 14,818 )が分析されました。


(1) アンタゴニストで採卵数4 つ未満の群で、その後にアンタゴニストを継続した群 (N = 2,354)、フレアに変更した群(N = 952人)
(2)フレアサイクルで採卵数4 つ未満の群で、その後もフレアを継続した群(N = 409)、アンタゴニストに変更した群(N = 445)
に分類されました。



結果
初回体外受精サイクル分析の結果
 アンタゴニストプロトコルでの反応不良群(AMH<0.5ng/mL)において、フレアプロトコルと比較して、採卵数、2PN数、および胚盤胞数がわずかに多い結果でした。 ただ、統計的有意性を示していますが、治療効果は非常に小さく、臨床的に意味がないという解析でした。アンタゴニストでの反応不良群はフレアと比較して同様の累積生児獲得率を有し、サイクルのキャンセル率がわずかに低かった。 まとめると、これらの結果は、初回体外受精サイクルにおいて反応不良群は、フレアと比較してアンタゴニストで同様の臨床成績をもたらしました。


2 回目の体外受精サイクル分析の結果
 すべてのサブグループで、プロトコールに関係なく、初回サイクルと比べて 2回目のサイクルで転帰が改善しました。これは、2 サイクルを受けた患者は、1 サイクル目の成績が悪かった可能性が高いことを示しています。
 初回アンタゴニストサイクルで採卵数が 4 個未満の場合、フレアへの変更は、アンタゴニストを再度行う場合と転帰はかわりませんでした。 初回アンタゴニスト、2回目アンタゴニストの場合、平均 13.9% の累積生児獲得率の改善を示し、初回アンタゴニスト、2回目フレアへの場合は平均 14.4% の累積生児獲得率の改善を示しました。初回フレアサイクルで採卵数が 4 個未満の場合、アンタゴニストに切り替えると、採卵数、2PN数、胚盤胞数がさらに増加する傾向が見られましたが、出生率とキャンセル率には差はみられませんでした。
初回フレア、2回目アンタゴニストへの変更は平均 10.4%の累積生児獲得率の改善を示しました。初回フレア、2回目フレアの場合、平均 9.0% (95%) の累積生児獲得率の改善を示しました。まとめると、"poor responder"に対し、フレアとアンタゴニストは臨床成績は変わらない結果でした。


まとめ
 初回サイクルと 2回目サイクルにおいて、フレアと比較してアンタゴニストで臨床成績は変わらないということがわかりました。アンタゴニストのプロトコールはより簡単で、必要な注射の回数も少ないため、IVF を受ける効果の低い患者にとっては好ましい選択肢となる可能性があります。

一方の卵巣が摘出された後は、もう片方の卵巣の反応性が上昇する

片側卵巣切除術が FSH に対する胞状卵胞の反応性が変化するか検討した報告


Human Reproduction, Volume 38, Issue 6, June 2023, Pages 1168–1182,


 片方の卵巣が無くなると卵子の半分が急になくなることとなります。そのため、AMHは低下します。抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベルは、AMHレベルが高い群と比較し、AMHレベルが低い群と比較するとゆっくり低下するとKatらにより報告されている。閉経時期に関しては、変わらないか少し早くなる程度です。


 採卵数は、片方の卵巣摘出した場合は減少しますが、性腺刺激ホルモンに対する卵巣の感受性が低下している可能性も示唆されています。そのためこの報告は、片側卵巣切除術が FSH に対する胞状卵胞の反応性が変化するか検討しています。


両方の卵巣で、直径 3 ~ 9 mm のすべての卵胞数 (AFC) と、直径 16 ~ 22 mm の卵胞数 (排卵前卵胞数、PFC) をトリガー日に測定しました。


FORT : トリガー日の PFC/ 月経3 日目の AFC× 100  
Alviggiらの卵胞対卵母細胞指数(FOI):採卵数/AFC×100
Liらの卵巣感受性指数 (OSI):採卵数 /FSH の総用量× 1000


 344人(単一卵巣群:n = 86、対照群:n = 258)を対象とました。
血清AMHレベル(1.8 対 1.0)およびベースラインAFC(13.0 対 9.0)と対照群の方が良い結果でした。


 トリガー日のPFCは、対照群と比較した場合、単一卵巣群で有意に低く、採卵成熟卵数も対照群の方が有意に多かった。 しかし、FORT の分析では、有意差は示されませんでした。 さらに、FSH に対する卵巣感受性を表すFOIやOSIは、両群間に差はありませんでした。 AMH とベースライン AFC に関する多変量解析では、卵巣刺激結果 (トリガー日の PFC、採卵数、採卵成熟卵数) のいずれも統計的に異なるものはありませんでした。


 片側卵巣群のみで検討したところ、AMHとベースラインAFCを調整後の分析では、片側卵巣摘出術後のトリガー日のPFCが高く、FORT比が高いことが明らかになりました。


 これは、卵巣が1つ残っている女性の卵巣機能を最適化するための適応メカニズムである可能性があります。実際、片側卵巣の女性は、通常女性と比較して、全体的に産生する卵母細胞の数が少ないにもかかわらず、体外受精の結果は同等のままであり、生殖能力が損なわれていない可能性をKhanらは報告しています。


 メカニズムは解明されていませんが、著者は片側卵巣摘出術後の残りの卵巣内の小さな胞状卵胞の顆粒膜細胞上の FSH 受容体の密度がより高くなっているのではないかと考えていました。



 この研究は、外因性FSHに対する胞状卵胞の反応性が、年齢が一致した対照の同側卵巣における反応性と比較して、片側卵巣摘出術を受けた女性において増加している可能性を提示しました。