卵巣機能低下した方の採卵後高温期刺激は単一周期あたりの正倍数性胚盤胞の獲得を増加させる可能性あり

卵巣機能低下症例に対し、同じ周期に二回の刺激(DuoStim)を行う報告があります。
短期間で収集される卵母細胞の数を最大化することを目的に卵胞期刺激が終了してから5日後に高温期刺激を行い、1回の周期で2回目の採卵を行うことができます。


今回DuoStim群と従来の卵胞刺激の成績を比較した報告をご紹介いたします。


”Luteal phase after conventional stimulation in the same ovarian cycle might improve the management of poor responder patients fulfilling the Bologna criteria: a case series”


297人のうち、100人がDuoStimを受けました。平均年齢は42.1±1.4歳、採卵数が3個以下で、既往IVFサイクルは0.7±0.9回でした。胞状卵胞数は3.8±1.2個で、抗ミュラー管ホルモンは0.56±0.3 ng / mLでした。そのうち91人がDuoStimが完了しました。


卵胞期刺激と黄体期刺激     
平均採卵数    2.4±1.5個 vs  3.1±2.2個(有意差あり)
胚盤胞の総数   0.7±0.8個 vs  1.1±1.1個(有意差あり)
胚盤胞形成率   30.7%±32.8% vs  36.2%±33.5%(有意差なし)
正倍数性胚盤胞数 0.1±0.4個 vs 0.2±0.5個(有意差なし)


 1以上の胚盤胞を獲得する割合は、DuoStimにより、卵胞期刺激の53%(n = 53/100)から82%(n = 82/100)に増加しました。同様に、1つ以上の正倍数性胚盤胞数を獲得する割合は、14%(n = 14/100)から31%(n = 31/100)に増加しました。



DuoStimと従来の卵巣刺激の主な結果を比較したところ、従来の刺激(20%)よりもDuoStim(31%)に少なくとも1つの正倍数性胚盤胞の取得した割合が高い結果でした。1回目と2回目の採卵の間隔は、従来の卵巣刺激では141.4±83.6日でしたがDuoStimでははるかに短い結果でした(15.8±2.6日)。
累積生児獲得率は、卵胞期刺激の7%からDuoStimに15%と増加しました。従来の卵巣刺激を選択した197人あたりの累積生児獲得率は8%でした(DuoStimと有意差なし)。それは妊娠していない17人のみが2回目の刺激を行いドロップアウト率が高いものによるものと考えられました。


<まとめ>
累積生児獲得率は有意差なく、DuoStimが2回の従来の卵巣刺激より優れているとはいえませんでした。ただし、DuoStimは、従来の卵巣刺激で失敗した後の脱落率を減らしました。一方、高温期刺激は、卵巣機能低下した症例において同じ周期で正倍数性胚盤胞の獲得および移植できる可能性を高める結果でした。

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