睡眠、勤務体系は妊娠に関連するか

米国では睡眠障害の罹患率が増加しています。 1985年以来、睡眠時間が1日6時間未満である成人は31%と増加しており、24%は睡眠障害を訴えています。睡眠障害は男性よりも女性に多くみられ、女性は男性よりも眠りにくく、睡眠の質が悪い傾向があるということです。睡眠時間は、心臓病、肥満、糖尿病、全死亡率のリスク増加と関連しており、7〜8時間が最もリスクが低いと報告されています。


台湾の前向きコホート研究では、睡眠時に無呼吸障害のある女性は、睡眠障害のない女性と比べて3.7倍の不妊のリスクがあると報告されています。体外受精に関する研究では、採卵数と睡眠時間に正の相関があると報告されています。


今回は”睡眠障害があると受胎能に中等度の低下することと関係があるのではないか、また睡眠時間が短いと受胎能が低くなることと関係があるのではないか。”という報告をご紹介いたします。


2019年5月 Fertility and Sterilty
"Female sleep patterns, shift work, and fecundability in a North American preconception cohort study"


この研究は北米のコホート研究において女性参加者の妊娠と睡眠時間および睡眠の質の影響を調べています。また、交代制勤務(午後10時から午前2時頃までの勤務として定義)が妊娠とどの程度関連しているかについても検討しています。


<結果>
妊娠を試みている21〜45歳で6か月以内の妊娠を試みている6,873人を対象としています。1日8時間睡眠と比較すると受胎率は、1日6時間未満:0.89(95%CI、0.75-1.06)、6時間:0.95(95%CI、0.86-1.04)、7時間:0.99(95%CI、0.92-1.06)、9時間以上:0.96(95%CI、0.84-1.10)でした。睡眠障害がない群と比較すると受胎率は、睡眠障害が50%未満の群:0.93(95%CI、0.88-1.00)、睡眠障害が50%超の群:0.87(95%CI、0.79-0.95)でした。交代制勤務と受胎に関連はありませんでした。


<まとめ>
夜間の睡眠障害があると受胎能に中等度の低下することと関係がある、また睡眠時間が短いと受胎能が低くなることと関係がある。交代制勤務と受胎に関連はないという結論でした。

×

非ログインユーザーとして返信する