反復流産を経験されている方の中で卵嚢機能低下している方の胚盤胞は異数性が多い

こんにちは


本日は少し前の論文になりますが、
反復流産を経験されている方の中で卵巣機能低下している方の胚盤胞は異数性が多いという報告をご紹介いたします。


”Higher rates of aneuploidy in blastocysts and higher risk of no embryo transfer in recurrent pregnancy loss patients with diminished ovarian reserve undergoing in vitro fertilization"


流産は年齢にもよりますが、10 ~ 25%に起こるとされ特別なことではありません。
厚生労働省によれば、妊娠歴のある 35-79 歳の女性のうち、3 回以上の流産は 0.9%、2 回以上の流産は 4.2%で、38%が 1 回以上の流産を経験していると報告されています。


この報告では2回以上の臨床的に認められた妊娠の損失をRecurrent pregnancy loss (RPL)と定義されています。


流産の主な原因の一つとして胚の染色体の異数性が挙げられます。
異数性の発生率は、年齢および過去の流産の回数とともに増加します。日本において一般診療ではなかなか難しいですが、異数性を調べるための胚の染色体スクリーニング(PGT-A)を用いた体外受精は、RPLの治療の選択肢として提案されています。


さらに、Katz-Jaffeは卵巣予備能(DOR)の低下した方は胚の異数性の発生率が高いことが示され、他の研究でもRPLにおいてDORの発生率が予想以上に高いことが示されています。


この報告は異数性の割合を予測する際の卵巣予備検査の役割およびPGT-AのためIVFをおこなった原因不明のRPLの正常胚が1個もないリスクを調べています。


PGT-Aを行なった43人がDORで、59人は正常な卵巣予備能でした。
DOR群は、異数性胚盤胞の割合が高く(57%対48%、P = 0.03)、PGT-Aしたすべての胚盤胞が異数性であったIVFサイクルの発生率も高い結果でした(25%対13%、P = 0.02)。


35歳以下および35〜37歳で、正常卵巣予備能群と比較して、DOR群由来の胚で異数性率が高かったですが、(59%対45%、P = .04および77%対59 %、P = 0.03)。38歳以上のでは、卵巣予備能にかかわらず、異数性率は高くなっていました。


胚移植の結果は、着床率、生児獲得率、流産率も同様で両群で統計学的に有意差はでませんでした。


まとめますと
原因不明のRPLおよびDORを有する方において、正常な卵巣予備検査を受けた患者と比較して、異数性胚がより高い割合であることがわかりました。しかし、38歳以上では、卵巣予備能にかかわらず、異数性率は高くなっていました。ただ、正常胚であれば卵巣機能は着床率、生児獲得率、流産率に影響しない可能性が考えられるようです。

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