早発卵巣不全(POI; primary ovarian insufficiency)について

本日は早発卵巣不全:POIについてまとめた報告をご紹介いたします。



Prz Menopauzalny. 2018 Sep
”Reproduction in premature ovarian insufficiency patients – from latest studies to therapeutic approach”


原始卵胞数は母親のお腹の中にいる20〜24週の胎児のころに最大数(6〜8百万)となります。 その後、減少がしていき 出生時には原始卵胞数は約100万個となります。 思春期になると、約50万個に減少し、閉経に近いころにはわずか数千個となります。


早期卵巣機能不全は、40歳までに月経周期の停止、血清卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルの上昇、および女性の血清エストラジオールレベルの低下として定義されます。 POIは女性のおよそ1%ほど発症するといわれます。


大部分は特発性ですが、遺伝的に素因もみられます。
自然発症は4%〜8%ほどで、自己免疫性疾患が関連しているものは4〜30%。
糖尿病の2.5%、アジソン病の約10〜20%がPOIを発症すると報告されています。
また、腫瘍切除や、化学療法、放射線療法などにより医原性の卵巣機能不全を引き起こすこともあります。


最大25%ほどは排卵を起こすことができますが、POIと診断されてからの妊娠・出産はわずか5%〜10%であると報告されています。


<治療>
POI患者さんに対し妊娠予定を延期しないようにアドバイスすることが重要です。
E投与やKaufmann療法を利用したり、GnRha投与、長期のFSH投与などを行い卵胞発育したら採卵し妊娠を目指す方法があります。


日本ではなかなか難しいですが、卵子提供が治療の選択肢となりえます。しかし、元々の疾患がある場合は妊娠中はより合併症を起こす可能性がありますし、卵子提供により妊娠高血圧および胎盤異常などの合併症増加するといわれていますので慎重な経過観察が必要となります。


卵巣凍結や河村先生などが研究されている Phosphoinositide 3-kinase (PI3K)-Akt-Forkhead box O3 (Foxo3) 経路を活性化する卵胞の人為的活性化(IVA; in vitro activation)などが一部の機関で行われています。


また、一般化はまだまだ先の話になりますが、幹細胞を利用した方法も非常に有効な手段となる可能性があります。


まとめ
現在、POIにおける新しい不妊治療法が開発されていますが、一般化するのはまだまだ先になりそうです。


挙示希望があれば
パートナーがいない方には卵子凍結、卵巣凍結
パートナーがいる方には妊娠予定を延期しないようにアドバイスし、今までのやり方で採卵したり、特定の機関で卵巣凍結やIVAなど新しい方法を行なう他、排卵が困難であれば卵子提供や特別養子縁組など情報提供を行う必要があります。

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