凍結胚移植と新鮮胚移植のどちらがよいか

こんにちは


本日は凍結胚移植と新鮮胚移植のどちらがよいか調べた報告になります。


日本では卵巣過剰刺激症候群などの合併症を考え凍結胚移植を行うことが多いですが、胚盤胞になりづらい症例や高齢などであれば新鮮胚移植も考慮されます。


2018年 The New England Journal of Medicine の
IVF Transfer of Fresh or Frozen Embryos in Women without Polycystic Ovaries


をご紹介いたします。


凍結胚移植は、新鮮胚移植と比較すると合併症がほとんどなく、出生時体重が重くおよび周産期死亡が低いことが示唆されています。凍結胚移植はますます一般的になり、多くの国で凍結サイクル数が増加しています。


最近、中国でIVFを受けている多嚢胞性卵巣症候群の不妊女性を対象とした多施設ランダム化試験において、凍結胚を受けた者は新鮮胚移植を受けた者よりも生児獲得率が有意に高いという報告がありました(49%対42%、P = 0.004)。 しかし、凍結胚移植が多嚢胞性卵巣症候群を持たない不妊女性の転帰を改善するかどうかについての疑問が残っています。 そこでIVFを受けている多嚢胞性卵巣症候群のない不妊症女性の凍結胚と新鮮胚移植の有効性を比較したランダム化試験を行っています。


<方法>
私たちはベトナムのホーチミン市の年間約6000回のIVFサイクルを実施する病院で、単一施設のランダム化比較試験を実施しました。
胚移植はday3でおこなっています。最大2個胚移植をしています。


新鮮胚移植群は新鮮胚で妊娠しなければ凍結胚を戻す周期に入り妊娠の有無を確認しています。
凍結胚移植はホルモン補充周期で移植し、妊娠しなければ繰り返しました。
12ヶ月後の妊娠率を調査しました。


<結果>
各グループに391人の患者を有する凍結胚群または新生胚群にランダムに割り当てました。
新鮮胚群では、391回の新鮮胚移植と224回の凍結胚移植が行われ、凍結胚群で582回の移植が行われました。
凍結胚群391例中142例(36.3%)および新鮮胚群391例中135例(34.5%)において、最初の完了後の妊娠は1.8%ポイントの差を認めましたが有意差はありませんでした。初回の胚移植後、着床率、臨床妊娠および生児獲得率は、凍結胚群と新生胚群の間で有意な差はありませんでした。1年の累積生児獲得率は、凍結胚群で48.8%、新生胚群で47.3%であり有意差も認めませんでした。
妊娠までの期間の中央値は、凍結胚群では3.6ヶ月、新鮮胚群では2.2ヶ月と有意に新鮮胚群が短かったという結果でした。


<考察>
多嚢胞性卵巣症候群でない不妊症女性における研究では、凍結胚移植と新鮮胚移植の妊娠率は変わりませんでした。また、初回サイクル後または12ヶ月後または12ヶ月間の妊娠中の生児獲得率に有意差は認められなかった。しかしながら、新鮮胚群で妊娠までの平均時間が1.4ヶ月短かった結果が得られました。この差は小さいですが、IVFの全体的な治療期間および直接的費用と間接的費用に影響します。多嚢胞性卵巣症候群でない不妊症女性における研究では、凍結胚移植と新鮮胚移植の妊娠率は変わりませんでした。また、最初のサイクル後または12ヶ月後または12ヶ月間の妊娠中の生存率に有意差は認められなかった。しかしながら、新鮮胚群で妊娠までの平均時間が1.4ヶ月短かった結果が得られました。この差は小さいですが、IVFの全体的な治療期間および直接的費用と間接的費用に影響します。
結論として、IVFを受けている多嚢胞性卵巣症候群ではない女性において、凍結胚移植と新鮮胚移植の妊娠率または生存率に有意差がないことを見出しました。


新鮮胚移植は妊娠までの期間が短いことを考えると高齢であったり、卵の個数が1.2個しか取れない方など、良い適応かと思われます。

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